December 27, 2007 Vol. 357 No. 26
アンチセンスオリゴヌクレオチド PRO051 によるジストロフィンの局所修復
Local Dystrophin Restoration with Antisense Oligonucleotide PRO051
J.C. van Deutekom and Others
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは重度の進行性筋力低下を伴い,概して 20~35 歳のあいだに死にいたる.アンチセンス化合物は,メッセンジャー RNA(mRNA)のスプライシングにおいて特定のエクソンのスキッピングを誘導することにより,DMD 遺伝子のオープンリーディングフレームを修正し,in vitro および in vivo の動物モデルでジストロフィン発現を修復することが最近明らかになった.この疾患患者を対象に,アンチセンスオリゴヌクレオチド PRO051 の単回筋肉内投与の安全性,有害事象プロファイル,ジストロフィンの局所修復作用を検討した.
変異状態,筋肉の状態,in vitro で PRO051 に対するエクソンスキッピング反応が認められることに基づき患者 4 例を選定し,PRO051 0.8 mg を前脛骨筋へ 1 回注射した.28 日後に生検を実施した.安全性評価項目,mRNA 合成,ジストロフィン発現状況を評価した.
PRO051 投与による臨床的に明らかな有害事象はみられなかった.エクソン 51 の特異的スキッピングがみられ,筋細胞膜ジストロフィンが筋線維の 64~97%に認められた.総抽出蛋白中のジストロフィンは対照サンプルで検出された量の 3~12%であり,ジストロフィンとラミニンα 2 の量比は対照サンプルの 17~35%であった.
適当な変異を有するデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者 4 例にアンチセンスオリゴヌクレオチド PRO051 を筋肉内投与したところ,ジストロフィンの合成が誘導された.このことから,さらなる研究の実行可能性が示唆される.