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July 26, 2007 Vol. 357 No. 4

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細気管支炎に対するデキサメタゾンの多施設共同無作為化比較試験
A Multicenter, Randomized, Controlled Trial of Dexamethasone for Bronchiolitis

H.M. Corneli and Others

背景

細気管支炎は,幼児にもっともよくみられる下気道感染症であり,小児期の入院の主な原因である.細気管支炎の治療には副腎皮質ステロイドが一般に用いられるが,その有効性に関するエビデンスは限られている.

方 法

喘鳴の初回エピソードのため救急部を受診し,中等度から重度の細気管支炎(呼吸困難評価尺度スコア [Respiratory Distress Assessment Instrument score] が 6 以上であることと定義)と診断された小児 600 例(月齢 2~12 ヵ月)を対象に,デキサメタゾンの単回経口投与(1 mg/kg 体重)とプラセボを比較する二重盲検無作為化試験を行った.20 ヵ所の救急部において,3 年間にわたり 11 月から 4 月にかけて患児を組み入れた.主要転帰は,救急部で 4 時間観察したあとの入院とした.副次的転帰は,呼吸評価変化スコア(Respiratory Assessment Change Score;RACS)とした.入院期間,その後の来院あるいは入院,有害事象など,その後の転帰も評価した.

結 果

ベースライン特性は両群で同等であった.デキサメタゾンに割り付けられた患児の入院率は 39.7%であったのに対し,プラセボに割り付けられた患児では 41.0%であった(絶対差 -1.3%,95%信頼区間 [CI] -9.2~6.5).両群ともに経過観察中に呼吸が改善し,4 時間後の RACS の平均スコアはデキサメタゾン群で -5.3 であったのに対し,プラセボ群では -4.8 であった(絶対差 -0.5,95% CI -1.3~0.3).多変量補正により結果が有意に変化することはなく,その後の転帰にも変化は認められなかった.

結 論

救急部で治療を受けた中等度から重度の急性細気管支炎の幼児では,1 mg/kg 体重のデキサメタゾンを単回経口投与しても,入院率,4 時間の経過観察後の呼吸状態,その後の転帰に有意な変化はみられなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00119002)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 331 - 9. )