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August 9, 2007 Vol. 357 No. 6

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重症天疱瘡を治療するためのリツキシマブの 1 サイクル投与
A Single Cycle of Rituximab for the Treatment of Severe Pemphigus

P. Joly and Others

背景

重症の天疱瘡患者において,複数サイクルのリツキシマブ投与と免疫グロブリン静脈内投与の併用は有効であると報告されている.この研究の目的は,重症の天疱瘡に対するリツキシマブの 1 サイクル投与の有効性を評価することであった.

方 法

天疱瘡で,プレドニゾン 1.5 mg/kg 体重/日の 8 週間コースに反応しなかった患者(副腎皮質ステロイド抵抗性例),20 mg/日を超える用量のプレドニゾン投与にもかかわらず 2 回以上の再発が認められた患者(副腎皮質ステロイド依存性例),副腎皮質ステロイドが絶対禁忌の患者,計 21 例を対象に研究を行った.患者には,リツキシマブ 375 mg/m2 体表面積の注入を週 1 回,4 週間にわたって行った.主要エンドポイントはリツキシマブ投与終了後 3 ヵ月の時点における完全寛解とし,完全寛解はすべての皮膚および粘膜の病変が上皮化することと定義した.

結 果

3 ヵ月の時点で,21 例中 18 例(86%,95%信頼区間 64~97%)で完全寛解が認められた.平均 18.9±7.9 ヵ月後に,9 例で疾患の再発が認められた.中央値 34 ヵ月の追跡調査期間後,副腎皮質ステロイド投与を受けなかった患者 8 例を含む 18 例(86%)では,疾患が認められなかった.プレドニゾンの平均投与量は,副腎皮質ステロイド抵抗性の患者では 94.0±10.2 mg/日から 12.0±7.5 mg/日に減少し(P=0.04),副腎皮質ステロイド依存性の患者では 29.1±12.4 mg/日から 10.9±16.5 mg/日に減少した(P=0.007).1 例がリツキシマブ投与 12 ヵ月後に腎盂腎炎を発症し,1 例がリツキシマブ投与 18 ヵ月後に敗血症のため死亡した.これらの患者では,血中の B リンパ球数が著しく減少していたが,血清 IgG 値は正常であった.

結 論

リツキシマブの 1 サイクル投与は,天疱瘡の治療法として有効である.重度の副作用が生じる可能性があるため,もっとも重症度の高い病型の天疱瘡に限って使用すべきである.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00213512)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 545 - 52. )