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August 30, 2007 Vol. 357 No. 9

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ゲノムワイド研究によって同定された多発性硬化症のリスク対立遺伝子
Risk Alleles for Multiple Sclerosis Identified by a Genomewide Study

The International Multiple Sclerosis Genetics Consortium

背景

多発性硬化症には,臨床的に重要な遺伝性の要素がある.われわれは,多発性硬化症のリスクに関与する対立遺伝子を同定するため,ゲノムワイド関連研究を行った.

方 法

931 組の親子(罹患した児とその両親)における共通の DNA 配列変異を同定するため,DNA マイクロアレイ技術を用いて関連を検討した.再現性の検証には,別の 609 組の親子,2,322 例の症例被験者,789 例の対照被験者の遺伝子型決定を行い,外部の 2 つの対照データセットから得た遺伝子型データを用いた.対立遺伝子と多発性硬化症のリスクとの関連の全体的な有意性と効果の大きさを評価するため,12,360 例から得たデータの共同解析を実施した.

結 果

931 組の親子の一塩基多型(SNP)334,923 個における伝達不平衡試験により,多発性硬化症に関連する SNP 49 個が判明した(P<1×10-4).これらの SNP のうち,38 個を二次解析のために選定した.さらに,親子由来の症例被験者 931 例と対照被験者 2,431 例を比較したところ,重複していない 32 個の SNP が確認された(P<0.001).また,二次解析のための SNP 計 110 個について,有意性がより低い P 値(<0.01)を有する SNP 40 個も選定した.これらの SNP のうち,インターロイキン-2 受容体 α 遺伝子(IL2RA)にある 2 個が多発性硬化症と強く関連していた(P=2.96×10-8).また,インターロイキン-7 受容体 α 遺伝子(IL7RA)にある非同義 SNP(P=2.94×10-7),および HLA-DRA 遺伝子座にある複数の SNP(P=8.94×10-81)も同様に多発性硬化症と強く関連していた.

結 論

IL2RAIL7RA,および HLA 遺伝子座の対立遺伝子を,多発性硬化症の遺伝的危険因子として同定した.

本論文(10.1056/NEJMoa073493)は,2007 年 7 月 29 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 851 - 62. )