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September 6, 2007 Vol. 357 No. 10

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STAT4 と関節リウマチおよび全身性エリテマトーデスのリスク
STAT4 and the Risk of Rheumatoid Arthritis and Systemic Lupus Erythematosus

E.F. Remmers and Others

背景

関節リウマチは,重大な遺伝性の要素をもつ慢性炎症性疾患である.疾患に対する感受性と染色体 2q 領域との関連が示されている.

方 法

すでに関節リウマチとの関連が示された染色体 2q 領域の中の,13 候補遺伝子の内部および周辺にある一塩基多形(SNP)について検討した.さらに,関節リウマチと確定診断された北米の症例患者計 1,620 例および対照者計 2,635 例に対し,STAT1-STAT4 領域の精密マッピングを行った.関連が示された SNP については,スウェーデンの独立した症例対照シリーズから関節リウマチの初期患者 1,529 例および対照者 881 例と,全身性エリテマトーデス(SLE)の 3 つの症例対照シリーズから患者計 1,039 例および対照者計 1,248 例においてさらに詳細に検討した.

結 果

STAT4 の 3 番目のイントロンにある SNP ハプロタイプは,関節リウマチおよび SLE の両疾患の感受性と関連していた.ハプロタイプを決定する SNP(haplotype-defining SNP)の変異型対立遺伝子は,関節リウマチと確定診断された患者の染色体の 27%に存在したのに対し,対照群では 22%に存在した(SNP rs7574865 について P=2.81×10-7,対照群に対して患者の染色体にリスク対立遺伝子が存在するオッズ比 1.32).この関連は,関節リウマチを最近発症したスウェーデンの患者(P=0.02),およびマッチさせた対照群の両方で再現された.rs7574865 で指標されるハプロタイプは SLE と強い関連があり,患者の染色体の 31%に存在したのに対し,対照群では 22%に存在した(P=1.87×10-9,対照群に対して患者の染色体にリスク対立遺伝子が存在するオッズ比 1.55).リスク対立遺伝子のホモ接合性は,この対立遺伝子がない場合と比較して,SLE に関しては 2 倍以上のリスクと関連し,関節リウマチに関しては 60%のリスク増加と関連していた.

結 論

STAT4 のハプロタイプは,関節リウマチおよび SLE の両方のリスク増加と関連しており,これらの疾患には共通の経路があることが示唆される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 977 - 86. )