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November 20, 2008 Vol. 359 No. 21

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C 反応性蛋白値が上昇した男女の血管イベント予防におけるロスバスタチン投与
Rosuvastatin to Prevent Vascular Events in Men and Women with Elevated C-Reactive Protein

P.M Ridker and Others

背景

炎症バイオマーカーである高感度 C 反応性蛋白(CRP)の上昇により,心血管イベントを予測することが可能である.スタチンはコレステロールとともに CRP を低下させることから,われわれは,高感度 CRP が上昇しているが高脂血症を伴わない人も,スタチン投与により利益が得られるという仮説を立てた.

方 法

低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールが 130 mg/dL(3.4 mmol/L)未満で,高感度 CRP が 2.0 mg/L 以上の一見健康な男女 17,802 例を,ロスバスタチン 20 mg/日投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付けた.複合主要エンドポイントを,心筋梗塞,脳卒中,動脈血行再建,不安定狭心症による入院,心血管死亡とし,その発生について追跡した.

結 果

試験は追跡期間中央値 1.9 年(最長 5.0 年)後に中止された.ロスバスタチン投与により,LDL コレステロールは 50%,高感度 CRP は 37%低下した.主要エンドポイントの発生率は,追跡 100 人年あたりロスバスタチン群 0.77,プラセボ群 1.36 であり(ロスバスタチン群のハザード比 0.56,95%信頼区間 [CI] 0.46~0.69,P<0.00001),心筋梗塞の発生率はそれぞれ 0.17,0.37(ハザード比 0.46,95% CI 0.30~0.70,P=0.0002),脳卒中は 0.18,0.34(ハザード比 0.52,95% CI 0.34~0.79,P=0.002),血行再建または不安定狭心症は 0.41,0.77(ハザード比 0.53,95% CI 0.40~0.70,P<0.00001),心筋梗塞・脳卒中・心血管死亡の複合エンドポイントは 0.45,0.85(ハザード比 0.53,95% CI 0.40~0.69,P<0.00001),全死因死亡は 1.00,1.25(ハザード比 0.80,95% CI 0.67~0.97,P=0.02)であった.評価した全サブグループで効果は一貫して認められた.ロスバスタチン群ではミオパチーおよび癌の有意な増加は認められなかったが,医師の報告による糖尿病の発症率が高かった.

結 論

高脂血症を有しないが高感度 CRP の上昇した一見健康な人を対象としたこの試験では,ロスバスタチン投与により,主要心血管イベントの発生率が有意に低下した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00239681)

本論文(10.1056/NEJMoa0807646)は,2008 年 11 月 9 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 2195 - 207. )