The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 4, 2008 Vol. 359 No. 23

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

駆出率の保持された心不全患者に対するイルベサルタン
Irbesartan in Patients with Heart Failure and Preserved Ejection Fraction

B.M. Massie and Others

背景

心不全患者の約半数では左室駆出率が 45%以上であるが,これらの患者の転帰を改善することが示されている治療法はない.われわれは,このような心不全患者に対するイルベサルタンの効果を検討した.

方 法

年齢が 60 歳以上で,ニューヨーク心臓協会(NYHA)の心機能分類で II~IV 度の心不全を有する,駆出率が 45%以上の患者 4,128 例を登録し,イルベサルタン 300 mg/日投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付けた.主要複合転帰は,全死因死亡または心血管系の原因(心不全,心筋梗塞,不安定狭心症,不整脈,脳卒中)による入院とした.副次的転帰は,心不全による死亡または入院,全死因死亡および心血管系の原因による死亡,QOL などとした.

結 果

平均 49.5 ヵ月間の追跡中に,主要転帰は,イルベサルタン群の 742 例,プラセボ群の 763 例で発生した.主要転帰の発生率は,1,000 人年あたりイルベサルタン群 100.4,プラセボ群 105.4 であった(ハザード比 0.95,95%信頼区間 [CI] 0.86~1.05,P=0.35).全死亡率は,1,000 人年あたりイルベサルタン群 52.6,プラセボ群 52.3 であった(ハザード比 1.00,95% CI 0.88~1.14,P=0.98).主要転帰に寄与する心血管系の原因による入院率は,1,000 人年あたりイルベサルタン群 70.6,プラセボ群 74.3 であった(ハザード比 0.95,95% CI 0.85~1.08,P=0.44).事前に規定したほかの転帰には,有意差は認められなかった.

結 論

イルベサルタンにより,左室駆出率の保持された心不全患者の転帰は改善しなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00095238)

本論文(10.1056/NEJMoa0805450)は,2008 年 11 月 11 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 2456 - 67. )