December 18, 2008 Vol. 359 No. 25
アルフゾシンと慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の症状
Alfuzosin and Symptoms of Chronic Prostatitis-Chronic Pelvic Pain Syndrome
J.C. Nickel and Others
慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の男性に対し,疾患の初期段階で行う α アドレナリン受容体拮抗薬による治療は,比較的小規模の無作為化試験の一部では有効であることが報告されている.
慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の症状軽減における α アドレナリン受容体拮抗薬アルフゾシン(alfuzosin)の有効性評価を目的として,多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した.この試験への参加には,過去 2 年以内に慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群と診断されたことに加え,α アドレナリン受容体拮抗薬による治療歴がないことを要件とした.患者を,12 週にわたりアルフゾシン 10 mg/日を投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は,ベースラインから 12 週の時点までに NIH 慢性前立腺炎症状スコア(National Institutes of Health Chronic Prostatitis Symptom Index:NIH-CPSI,0~43 でスコアが高いほど重症であることを示す)が 4 ポイント以上低下することとした.4 ポイントの低下は,このスコアにおいて臨床的有意性を示す最小の差である.
計 272 例の適格例を無作為化した.両群とも 49.3%が NIH-CPSI の合計スコアで4 ポイント以上の低下を示した(アルフゾシンと関連する反応率の差 0.1%,95%信頼区間 [CI] -11.2~11.0,P=0.99).さらに,12 週の時点での全体的な反応評価では反応率は同等であり,プラセボ群で 33.6%,アルフゾシン群で 34.8%であった(P=0.90).有害事象の発生率は両群で同等であった.
今回の結果は,慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群で α 遮断薬による治療歴のない男性に対し,症状軽減を目的にアルフゾシンを使用することを支持するものではない.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00103402)