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December 25, 2008 Vol. 359 No. 26

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骨髄増殖性疾患における Bcl-xL の脱アミド化経路の阻害
Inhibition of the Bcl-xL Deamidation Pathway in Myeloproliferative Disorders

R. Zhao and Others

背景

骨髄増殖性疾患は,チロシンキナーゼに影響する体細胞の機能獲得型変異が高頻度に生じるクローン性疾患である.このような疾患では DNA 損傷が増加し,急性白血病に進行するリスクが高い.骨髄増殖性疾患では損傷 DNA により誘導されるアポトーシスが阻害されるが,その分子機構は明らかにされていない.

方 法

慢性骨髄性白血病(CML)患者と真性多血症患者を対象に,初代細胞におけるアポトーシス促進性の Bcl-xL の脱アミド化経路の異常を探索した.これらの疾患は,それぞれ BCR-ABL 融合キナーゼと,Janus チロシンキナーゼ 2(JAK2)の V617F 変異に関連した骨髄増殖性疾患である.

結 果

CML 患者と真性多血症患者において,Bcl-xL の脱アミド化経路は骨髄細胞では阻害されていたが,T 細胞では阻害されていなかった.アミロライド感受性のナトリウム-水素交換系アイソフォーム 1(sodium-hydrogen exchanger isoform 1:NHE-1),細胞内 pH,Bcl-xL の脱アミド化,アポトーシスの各レベルに,DNA 損傷による上昇は認められなかった.強制的なアルカリ化または NHE-1 の過剰発現によりこの経路の阻害は解除され,アポトーシスが回復した.CML 患者では,CD34+前駆細胞と成熟骨髄細胞でこの経路は遮断されていた.CML に対してはイマチニブ,真性多血症に対しては JAK2 阻害薬により,患者の細胞におけるこの経路の阻害が解除されたが,イマチニブ抵抗性の患者の細胞では BCR-ABL のキナーゼドメインが変異しているため解除されなかった.

結 論

CML 患者と真性多血症患者の初代細胞では,それぞれ BCR-ABL と変異 JAK2 により,Bcl-xL の脱アミド化経路ならびに DNA 損傷に対するアポトーシス応答が阻害される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 2778 - 89. )