The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

March 12, 2009 Vol. 360 No. 11

不整脈原性右室心筋症の新しい診断検査
A New Diagnostic Test for Arrhythmogenic Right Ventricular Cardiomyopathy

A. Asimaki and Others

背景

不整脈原性右室心筋症(ARVC)は,きわめて多様な臨床症状を示し,また遺伝的浸透度が低い場合が多いため,その診断はときに困難となる.

方 法

デスモゾーム蛋白の分布の変化を,ARVC の感度と特異度の高い診断検査法として利用できるかどうかを検討するために,ヒト心筋標本の免疫組織化学的解析を行った.

結 果

まず,ARVC 患者 11 例の心筋標本について検討した.これらのうち,8 個でデスモゾーム蛋白をコードする遺伝子に変異を認めた.さらに対照標本として,心疾患の臨床所見・病理学的所見が認められない 10 例の剖検心筋標本についても検討した.ARVC 標本のすべてで,介在板で接着分子を細胞骨格に結合させる蛋白であるプラコグロビン(γ-カテニンとしても知られる)の免疫反応シグナルのレベルに著しい低下がみられたが,対照標本ではそのような低下はみられなかった.その他のデスモゾーム蛋白ではさまざまな変化が認められたが,デスモゾームではない接着分子 N-カドヘリンのシグナルレベルは,ARVC 患者全例で正常であった.プラコグロビンのシグナルレベルの低下が ARVC に特異的であるかどうかを調べるために,肥大型,拡張型,虚血性の心筋症患者 15 例の心筋を解析した.結合部における N-カドヘリンとプラコグロビンのシグナルレベルは,すべての標本と ARVC 標本とで見分けがつかなかった.その後,ジョンズ・ホプキンス ARVC 登録(Johns Hopkins ARVC registry)の心生検標本について,盲検下で免疫組織化学的解析を行った.臨床基準に基づく ARVC の確定症例 11 例中 10 例について正しい診断ができ,また非 ARVC 症例 11 例中 10 例を正しく除外できたことから,感度は 91%,特異度は 82%,陽性適中率は 83%,陰性適中率は 90%であった.ARVC 標本では,プラコグロビンのシグナルレベルは広範囲にわたって低下しており,左室と心室中隔から採取した標本においても低下がみられた.

結 論

通常の心内膜心筋生検標本に対するルーチンの免疫組織化学的解析は,ARVC に対して,感度と特異度の高い診断検査法となると考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 1075 - 84. )