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April 2, 2009 Vol. 360 No. 14

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血液透析患者におけるロスバスタチンと心血管イベント
Rosuvastatin and Cardiovascular Events in Patients Undergoing Hemodialysis

B.C. Fellström and Others

背景

スタチンにより,心血管リスクの高い患者の心血管イベントの発生率は低下する.しかし,血液透析を受けている患者に対するスタチンの有益性は示されていない.

方 法

維持血液透析を受けている 50~80 歳の患者 2,776 例を対象に,多国間多施設共同無作為化二重盲検前向き試験を実施した.患者を,ロスバスタチン 10 mg/日を投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要複合エンドポイントは,心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中とした.副次的エンドポイントは,あらゆる原因による死亡,個別の心イベント,血管イベントとした.

結 果

ロスバスタチン群の低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値は,ベースライン平均 値の 100 mg/dL(2.6 mmol/L)から,3 ヵ月で平均 43%低下した.追跡期間中央値 3.8 年のあいだに,ロスバスタチン群の 396 例とプラセボ群の 408 例が主要エンドポイントに達した(それぞれ 100 患者年あたり 9.2 件と 9.5 件,ロスバスタチン群のプラセボ群に対する複合エンドポイントのハザード比 0.96,95%信頼区間 [CI] 0.84~1.11,P=0.59).主要エンドポイントの各項目にロスバスタチンの効果は認められなかった.また,あらゆる原因による死亡率に対しても有意な効果は認められなかった(100 患者年あたり 13.5 件 対 14.0 件,ハザード比 0.96,95% CI 0.86~1.07,P=0.51).

結 論

血液透析患者では,ロスバスタチンを用いた治療により LDL コレステロール値は低下したものの,心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中から成る主要複合エンドポイントに対する有意な効果は認められなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00240331)

本論文(10.1056/NEJMoa0810177)は,2009 年 3 月 30 日に NEJM.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 1395 - 407. )