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April 23, 2009 Vol. 360 No. 17

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無保険状態の発生率とその期間の変化
Changes in the Incidence and Duration of Periods without Insurance

D.M. Cutler and A.M. Gelber

背景

政策立案者は,年々増加する無保険者が医療保険に加入できる方法を,最近提案するようになった.しかし,無保険状態の発生率とその期間の経時的変化を示すデータはほとんどない.

方 法

米国国勢調査局(U.S. Census Bureau)による所得および保険加入調査(Survey of Income and Program Participation)から,1983~86 年(25,946 人)と 2001~04 年(40,282 人)の 2 つのデータセットを使用した.それぞれのデータセットについて,1 人の人が一定期間無保険状態になる確率と,その後民間保険または公的保険に加入する確率を推定した.また,人口統計学的特性別に,1 年の調査期間中に無保険状態になる確率と,長期にわたり無保険状態が続く確率も推定した.

結 果

12 ヵ月間に保険を喪失した割合は,1983~86 年の 19.8%から 2001~04 年には 21.8%に増加した(P=0.04).一定期間無保険となった割合は,教育水準がもっとも低い人々で顕著に増加しており,これは主に民間保険の喪失によるものであった.新たに無保険となり,その後 24 ヵ月以内に保険に加入した割合は,各調査期間で 73.8%から 79.7%に増加し(P<0.001),その増加は,すべての年齢とあらゆる教育水準の人々で認められた.また,無保険状態から民間保険に加入した割合は,65.2%から 59.2%に減少し(P<0.001),無保険状態から公的保険に加入した割合は,8.7%から 20.4%に増加した(P<0.001).

結 論

1983~86 年に比べ,2001~04 年のほうが無保険状態になる人は多く,とくに教育水準がもっとも低い人々で顕著であった.また,2001~04 年のほうが 1983~86 年よりも無保険状態の期間が短かったのは,民間保険の加入の減少が公的保険の加入の増加により相殺されたためであった.今回の結果は,民間保険加入の減少が続いて公的保険の加入増加では相殺できなくなった場合に,難局を迎えることを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 1740 - 8. )