スウェーデンにおける薬剤溶出ステントとベアメタルステントの長期の安全性と有効性の比較
Long-Term Safety and Efficacy of Drug-Eluting versus Bare-Metal Stents in Sweden
S.K. James and Others
薬剤溶出冠動脈ステントの長期にわたる安全性と有効性は疑問視されている.
2003~06 年にスウェーデンで冠動脈ステント留置を受け,スウェーデン冠動脈造影術・冠動脈形成術登録(Swedish Coronary Angiography and Angioplasty Registry)に登録され,1~5 年間(平均 2.7 年間)の完全な追跡調査データを入手することができた患者 47,967 例を評価した.主要解析では,患者の臨床特性ならびに病変およびステントの特性の違いで補正し,薬剤溶出冠動脈ステントを 1 個留置した患者(10,294 例)と,ベアメタルステントを 1 個留置した患者(18,659 例)を比較した.
死亡 2,380 例と心筋梗塞 3,198 例をベースに転帰の解析を行った.薬剤溶出ステント群とベアメタルステント群とで,死亡または心筋梗塞の複合エンドポイント(薬剤溶出ステントの相対リスク 0.96,95%信頼区間 [CI] 0.89~1.03)と,死亡(相対リスク 0.94,95% CI 0.85~1.05),心筋梗塞(相対リスク 0.97,95% CI 0.88~1.06)の個々のエンドポイントについて,全体的な差はみられなかった.また,ステント留置の適応別のサブグループ間の転帰にも,有意差は認められなかった.2003 年に薬剤溶出ステント留置を受けた患者では,同年にベアメタルステント留置を受けた患者に比べ遠隔期のイベント発生率が有意に高かったが,2004 年以降にステント留置を受けた患者の転帰には差はみられなかった.ステント留置後 1 年間の再狭窄の平均発生率は,薬剤溶出ステント群で 100 人年あたり 3.0 件であったのに対し,ベアメタルステント群では 4.7 件(補正相対リスク 0.43,95% CI 0.36~0.52)であり,再狭窄 1 例を予防するには,薬剤溶出ステント留置を 39 病変に行う必要があるということになる.高リスク患者では,再狭窄の補正リスクは薬剤溶出ステント群のほうがベアメタルステント群より 74%低く,再狭窄 1 例を予防するための治療必要数は,わずか 10 となる.
薬剤溶出ステントは,死亡または心筋梗塞の長期発生率はベアメタルステントと同等であり,高リスク患者においては,再狭窄率に臨床的に重要な低下をもたらした.