The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 15, 2009 Vol. 360 No. 3

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

経皮的冠動脈インターベンションのガイドとしての冠血流予備量比と血管造影の比較
Fractional Flow Reserve versus Angiography for Guiding Percutaneous Coronary

P.A.L. Tonino and Others

背景

多枝冠動脈疾患患者に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行時に,ステント留置のガイドとして用いる標準的な方法は冠動脈造影である.血管造影時に,冠血流予備量比(fractional flow reserve:FFR,正常動脈の最大血流量に対する狭窄動脈の最大血流量の比)のルーチン測定を合わせて行った場合に,転帰が改善するかどうかは明らかではない.

方 法

米国と欧州の 20 の医療機関において,多枝冠動脈疾患患者 1,005 例を,PCI 施行時の薬剤溶出ステント留置を血管造影の単独ガイド下で行う群と,血管造影と FFR 測定の併用ガイド下で行う群のいずれかに無作為に割り付けた.無作為化の前に,PCI を要する病変を血管造影所見に基づいて同定した.血管造影ガイド下で PCI を行う群では適応となったすべての病変に対してステント留置を行い,FFR ガイド下で PCI を行う群では FFR が 0.80 以下の場合にのみステント留置を行った.主要エンドポイントは 1 年後の死亡率,非致死的心筋梗塞発生率,血行再建術再施行率とした.

結 果

患者あたりの適応病変数の平均(±SD)は,血管造影群 2.7±0.9 個,FFR 群 2.8±1.0 個であった(P=0.34).患者あたりの使用ステント数は,血管造影群 2.7±1.2 本,FFR 群 1.9±1.3 本であった(P<0.001).1 年間のイベント発生率は,血管造影群で 18.3%(91 例),FFR 群で 13.2%(67 例)であった(P=0.02).1 年後の時点で狭心症が認めらなかった患者の割合は,血管造影群では 78%であったのに対し,FFR 群では 81%であった(P=0.20).

結 論

多枝冠動脈疾患患者に対する薬剤溶出ステントを用いた PCI の施行時に FFR の ルーチン測定を行うことにより,1 年後の死亡,非致死的心筋梗塞,血行再建術再施行の複合エンドポイントの発生率が有意に低下した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00267774)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 213 - 24. )