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May 21, 2009 Vol. 360 No. 21

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急性冠症候群に対するエプチフィバチドの早期投与と待機的・条件下投与の比較
Early versus Delayed, Provisional Eptifibatide in Acute Coronary Syndromes

R.P. Giugliano and Others

背景

急性冠症候群で侵襲的治療を受ける患者には,血小板糖蛋白 IIb/IIIa 阻害薬の適応がある.しかし,そうした治療を開始する至適時期は明らかにされていない.

方 法

非 ST 上昇型急性冠症候群で侵襲的治療に割り付けられた患者 9,492 例を対象に,ルーチンに行われるエプチフィバチド(eptifibatide)の早期投与と,待機的・条件下投与を比較した.患者を,エプチフィバチドを早期投与する群(血管造影の 12 時間以上前に 1 回 180 μg/kg のボーラス投与を 10 分間隔で 2 回と,標準的な注入を 1 回)と,マッチさせたプラセボを注入し,血管造影後にエプチフィバチドを条件付きで使用(待機的投与)する群のいずれかに無作為に割り付けた.有効性の主要エンドポイントは,96 時間の時点での死亡,心筋梗塞,緊急の血行再建術を必要とする虚血の再発,最初の割付けとは逆の薬剤のボーラス投与(「血栓に対する救済処置」)を要する経皮的冠動脈インターベンション中の血栓性合併症の発生の複合とした.主な副次的エンドポイントは,最初の 30 日以内における死亡と心筋梗塞の複合とした.安全性エンドポイントは,無作為化後 120 時間以内の出血と輸血の必要性とした.

結 果

主要エンドポイントは,早期投与群の 9.3%と,待機的投与群の 10.0%で発生した(オッズ比 0.92,95%信頼区間 [CI] 0.80~1.06,P=0.23).30 日の時点での死亡または心筋梗塞の発生率は,早期投与群で 11.2%であったのに対し,待機的投与群では 12.3%であった(オッズ比 0.89,95% CI 0.79~1.01,P=0.08).早期投与群では出血率と赤血球輸血率が有意に高かった.重度の出血,非出血性の重篤な有害事象の発生率に両群間で有意差はみられなかった.

結 論

非 ST 上昇型急性冠症候群患者において,血管造影の 12 時間以上前のエプチフィバチドの使用は,血管造影後の条件下使用と比べて優れてはいなかった.エプチフィバチドの早期投与には,非致死的出血リスクの上昇と輸血の必要性の増

本論文(10.1056/NEJMoa0901316)は,2009 年 3 月 30 日に NEJM.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 2176 - 90. )