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February 12, 2009 Vol. 360 No. 7

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慢性リンパ性白血病の初期マーカーとしての B 細胞クローン
B-Cell Clones as Early Markers for Chronic Lymphocytic Leukemia

O. Landgren and Others

背景

末梢血中の B 細胞クローンが少ないこと以外健常である人は,モノクローナル B 細胞リンパ球増加症(MBL)とされる.病院ベースの症例集積研究では,MBL から慢性リンパ性白血病(CLL)に進行するリスクが高いことが示されている.この前向きコホート研究では,MBL が常に CLL に先行して認められるという仮説を検証した.

方 法

全米における人口ベースの前立腺癌・肺癌・大腸癌・卵巣癌スクリーニング試験(Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian [PLCO] Cancer Screening Trial)に登録された健常成人 77,469 人を対象に,登録後(最長 6.4 年後)に CLL と診断された患者の中から,末梢血検体が採取されていた 45 例を同定した.6 色フローサイトメトリー(CD45,CD19,CD5,CD10,κ,λ 抗体)と,逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法による免疫グロブリン重鎖遺伝子再構成の解析を行い,MBL とその後の CLL との関連について検討し,CLL と診断される前の B 細胞クローンの免疫グロブリン遺伝子レパートリーの特徴を明らかにした.

結 果

CLL 患者 45 例中 44 例(98%,95%信頼区間 [CI] 88~100)で,フローサイトメトリー解析または分子解析のいずれかにより,CLL と診断される前の血液中に B 細胞クローンが認められた.41 例(91%,95% CI 79~98)では両解析で確認された.診断される前のクローン 45 個のうち,35 個(78%)で免疫グロブリン重鎖可変領域(IGHV)遺伝子が認められた.そのうち 16 個(46%)は IGHV3 サブグループの遺伝子であり(IGHV3-23 遺伝子が 6 個 [17%]),9 個(26%)は IGHV4 サブグループの遺伝子であった(IGHV4-34 遺伝子が 4 個 [11%]).さらに,IGHV 配列の変異が 35 個中 27 個(77%)に認められ,血液採取から CLL と診断されるまでの時間の中央値で層別化しても同様の分布を示した.

結 論

CLL 患者 45 例中 44 例で,CLL と診断される前の最長 77 ヵ月以内に採取された末梢血中に,すでに B 細胞クローンが認められた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 659 - 67. )