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February 19, 2009 Vol. 360 No. 8

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神経膠腫における IDH1IDH2 の変異
IDH1 and IDH2 Mutations in Gliomas

H. Yan and Others

背景

膠芽腫(世界保健機関 [WHO] グレード IV の神経膠腫)に関する最近のゲノムワイド変異解析から,膠芽腫の一部でイソクエン酸デヒドロゲナーゼ 1 型遺伝子(IDH1)の体細胞変異がみられることが明らかになったが,このような変異は,より悪性度の低い神経膠腫から進行したとされる腫瘍(二次性膠芽腫)でもっとも高頻度に認められている.

方 法

中枢神経系(CNS)腫瘍 445 個と CNS 以外の腫瘍 494 個において,IDH1 とこれに関連する IDH2 の配列を決定した.これらの遺伝子を導入した培養神経膠腫細胞を用いて,正常 IDH1IDH2,変異 IDH1IDH2 から産生された蛋白の酵素活性を調べた.

結 果

WHO グレード II と III の星細胞腫と乏突起細胞膠腫,およびより悪性度の低い病変に由来する膠芽腫の 70%超で,IDH1 の 132 番目のアミノ酸に影響を及ぼす変異が同定された.IDH1 に変異がみられない腫瘍では,IDH2 のアミノ酸類似体(R172)に影響を及ぼす変異が高頻度に認められた.IDH1IDH2 のいずれかが変異した腫瘍は特徴的な遺伝的特性と臨床的特性をもっており,このような腫瘍を有する患者では,野生型の IDH を有する患者よりも転帰が優れていた.検討した 4 種類の IDH1IDH2 の変異のそれぞれで,コードしている蛋白の酵素活性が低下していた.

結 論

数種の悪性神経膠腫の大半では,IDH1IDH2 がコードする NADP依存性イソクエン酸デヒドロゲナーゼに変異が生じている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 765 - 73. )