September 24, 2009 Vol. 361 No. 13
高齢の急性骨髄性白血病患者に対する高用量ダウノルビシン
High-Dose Daunorubicin in Older Patients with Acute Myeloid Leukemia
B. Löwenberg and Others
急性骨髄性白血病(AML)患者の生存期間延長には完全寛解が不可欠である.ダウノルビシンは寛解導入療法の基本となっているが,至適用量は明らかにされていない.高齢患者に対しては 45~50 mg/m2 体表面積のダウノルビシンを投与するのが通常である.
新たに AML または高リスクの不応性貧血と診断された 60~83 歳(中央値 67 歳)の患者を,シタラビン 200 mg/m2 の 7 日間の持続静脈内投与に加え,ダウノルビシンを 3 日間,標準用量の 45 mg/m2 を投与する群(411 例)と,2 倍量の 90 mg/m2 を投与する群(402 例)に無作為に割り付けた.この治療のあとに,シタラビン投与の 2 サイクル目を 1,000 mg/m2 の用量で 12 時間ごとに 6 日間行った.主要エンドポイントは無イベント生存率とした.
完全寛解率は,高用量群 64%,標準用量群 54%であった(P=0.002).1 サイクル目の寛解導入療法後の寛解率は,それぞれ 52%,35%であった(P<0.001).両群間で,血液毒性の発現率,30 日死亡率(それぞれ 11%,12%),および中等度,重度,生命に関わる有害事象の発現率に有意差は認められなかった(P=0.08).全体で,両群に関する生存のエンドポイントに有意差は認められなかったが,60~65 歳の高用量群患者では同年齢の標準用量群患者に比べ,完全寛解率(73% 対 51%),無イベント生存率(29% 対 14%),全生存率(38% 対 23%)が高かった.
60 歳以上の AML 患者では,ダウノルビシンを標準用量の 2 倍に増量し寛解導入療法の 1 サイクル目に投与すると,毒性の増加を伴うことなく,標準用量に比べ効果が早く得られ,寛解率が高くなる.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN77039377,Netherlands National Trial Register 番号:NTR212)