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October 22, 2009 Vol. 361 No. 17

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標準リスクの肝芽腫に対するシスプラチン単独とシスプラチン+ドキソルビシンの比較
Cisplatin versus Cisplatin plus Doxorubicin for Standard-Risk Hepatoblastoma

G. Perilongo and Others

背景

標準リスクの肝芽腫(腫瘍がある肝区域が 3 つ以下で,α-フェトプロテイン値が 100 ng/mL を超える)に対する術前のシスプラチン単独療法は,シスプラチンとドキソルビシンの併用療法と同等に有効である可能性がある.

方 法

標準リスクの肝芽腫を有する 16 歳未満の小児を適格とした.シスプラチンを 1 サイクル(80 mg/m2 体表面積/24 時間)投与し,その後シスプラチン単独群(14 日ごとに投与)と,シスプラチン+ドキソルビシン群(術前に 3 サイクル,術後に 2 サイクル投与)に無作為に割り付けた.主要転帰は完全切除率とし,試験はシスプラチン単独投与の非劣性(完全切除率の差が 10%未満)を検証するための検出力を有するものとした.

結 果

1998 年 6 月~2006 年 12 月に,126 例をシスプラチン単独群に,129 例をシスプラチン+ドキソルビシン群に無作為に割り付けた.完全切除率は,intention-to-treat 解析ではシスプラチン単独群 95%,シスプラチン+ドキソルビシン群 93%であった(差 1.4%,95%信頼区間 [CI],-4.1~7.0).プロトコールに基づく解析での完全切除率は,それぞれ 99%,95%であった.3 年無イベント生存率と全生存率は,シスプラチン単独群ではそれぞれ 83%(95% CI 77~90)と 95%(95% CI 91~99),シスプラチン+ドキソルビシン群では 85%(95% CI 79~92)と 93%(95% CI 88~98)であった(追跡期間中央値 46 ヵ月).グレード 3 または 4 の急性有害事象の発生頻度は,併用投与群のほうが高かった(74.4% 対 20.6%).

結 論

標準リスクの肝芽腫を有する小児において,シスプラチン単独療法により,シスプラチン+ドキソルビシン併用療法と同等の完全切除率と生存率が得られた.標準リスクの肝芽腫の治療では,ドキソルビシンを投与しなくても支障はないと考えられる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00003912)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 1662 - 70. )