October 29, 2009 Vol. 361 No. 18
2 型糖尿病に対する複合インスリンレジメンの 3 年間の有効性の比較
Three-Year Efficacy of Complex Insulin Regimens in Type 2 Diabetes
R.R. Holman and Others
2 型糖尿病患者に行う経口薬治療に,特定のインスリンレジメンを追加することの有効性を支持するエビデンスは限られている.
3 年間の非盲検多施設共同試験において,メトホルミンとスルホニル尿素薬を服用しているにもかかわらず糖化ヘモグロビン(HbA1c)値のコントロールが不良(7.0~10.0%)であった 708 例を評価した.患者を,二相性インスリンアスパルトを 1 日 2 回投与する群,食前にインスリンアスパルトを 1 日 3 回投与する群,基礎インスリンとしてインスリンデテミルを 1 日 1 回(必要に応じて 2 回)投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.最初の 1 年間に高血糖が許容範囲を超えた場合,もしくはそれ以降も HbA1c 値が 6.5%を超えていた場合に,スルホニル尿素薬に代えて第 2 のインスリンを追加した.評価項目は,HbA1c 値,HbA1c 値が 6.5%以下の患者の割合,低血糖の発生頻度,体重増加とした.
HbA1c 値の中央値は 3 群で同等であり,二相性インスリン群 7.1%,食前インスリン群 6.8%,基礎インスリン群 6.9% であった(P=0.28).しかし,HbA1c 値が 6.5%以下の患者の割合は,二相性インスリン群(31.9%)で食前インスリン群(44.7%,P=0.006),基礎インスリン群(43.2%,P=0.03)よりも少なく,第 2 のインスリンの追加を要した患者の割合は,二相性インスリン群 67.7%,食前インスリン群 73.6%,基礎インスリン群 81.6%と有意に異なった(P=0.002).患者あたりの年間の低血糖発生頻度の中央値は,基礎インスリン群でもっとも低く(1.7),次いで二相性インスリン群(3.0),食前インスリン群と高くなった(5.7)(全体の比較で P<0.001).体重増加の平均は,食前インスリン群が二相性インスリン群,基礎インスリン群よりも大きかった.その他の有害事象の発生頻度は 3 群で同等であった.
経口薬治療に基礎インスリンあるいは食前インスリンを追加した場合,二相性インスリンを追加した場合よりも HbA1c のコントロールは良好であった.基礎インスリンを追加した患者では,低血糖の発生頻度はより低く,体重増加はより小さかった.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN51125379)