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December 3, 2009 Vol. 361 No. 23

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タイにおける HIV-1 感染予防のための ALVAC と AIDSVAX の併用ワクチン接種
Vaccination with ALVAC and AIDSVAX to Prevent HIV-1 Infection in Thailand

S. Rerks-Ngarm and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)に対する安全で有効なワクチンの開発は,パンデミック対策上きわめて重要である.

方 法

地域ベースの多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照有効性試験において,初回抗原刺激として組換えカナリア痘ベクターワクチン(ALVAC-HIV [vCP1521])の接種を 4 回,うち最後の 2 回に追加免疫として組換え糖蛋白 120 サブユニットワクチン(AIDSVAX B/E)を併用するレジメンを評価した.タイのラヨーン県とチョンブリー県の 18~30 歳の健常成人 16,402 人に,このワクチンまたはプラセボを接種した.異性間 HIV 感染リスクのある参加者が主であった.HIV 感染と早期 HIV-1 ウイルス血症の 2 つを主要エンドポイントとし,6 ヵ月間のワクチン接種レジメンの終了時と,その後 6 ヵ月ごと 3 年間にわたり評価した.

結 果

16,402 人を対象とした intention-to-treat 解析では,ワクチン接種群で HIV-1 感染が予防された傾向がみられ,ワクチン有効率は 26.4%(95%信頼区間 [CI] -4.0~47.9)であった(P=0.08).12,542 人を対象とした per-protocol 解析では,ワクチン有効率は 26.2%(95% CI -13.3~51.9)であった(P=0.16).16,395 人を対象とした修正 intention-to-treat 解析(ベースラインで HIV-1 感染が確認された 7 例を除外)では,ワクチン有効率は 31.2%(95% CI 1.1~52.1)であった(P=0.04).ワクチン接種後に HIV 感染が確認された参加者では,ウイルス血症の程度や CD4+ T 細胞数にワクチン接種による影響は認められなかった.

結 論

ALVAC-HIV と AIDSVAX B/E を併用する HIV 感染予防接種レジメンにより,主に異性間感染リスクを有する地域集団で,感染リスクが減少する可能性が示された.HIV 感染が確認された参加者では,ウイルス量や CD4+細胞数にワクチン接種による影響は認められなかった.今回の試験ではワクチン接種の小さな有益性しか示されなかったが,今後の研究への洞察が得られた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00223080)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 2209 - 20. )