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December 24, 2009 Vol. 361 No. 26

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中国における 2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)ウイルス初期感染例の臨床像
Clinical Features of the Initial Cases of 2009 Pandemic Influenza A(H1N1)Virus Infection in China

B. Cao and Others

背景

中国で 2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)ウイルスの最初の感染例が報告されたのは,5 月 10 日であった.その後,感染が疑われる例とその接触者を対象に検査が行われた.感染が確認された患者は入院後隔離された.疾患の臨床像と感染・罹患期間を調査するため,一部の患者を詳細に観察した.

方 法

2009 年 5 月~6 月に 20 省の 61 の医療施設で隔離された,2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)ウイルス感染患者 426 例を対象とした.リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査で感染を確認し,疾患の臨床像を詳細に観察した.254 例には発症後 48 時間以内にオセルタミビルが投与された.

結 果

426 例の平均年齢は 23.4 歳で,53.8%が男性であった.感染が確認された場所は,入国港(32.9%),隔離室(20.2%),病院(46.9%)であった.ウイルスの潜伏期間の中央値は 2 日(1~7 日)であった.症状は,発熱(67.4%),咳嗽(69.5%)がもっともよくみられた.下痢は 2.8%,悪心・嘔吐は 1.9%でみられた.リンパ球減少は成人(68.1%),小児(92.3%)のいずれにもよくみられ,一般的に 2 日目(1~3 日)に発現し,7 日目(6~9 日)に正常値に戻った.低カリウム血症が 25.4%で観察された.発熱の持続期間は一般的に 3 日(1~11 日)であった.リアルタイム RT-PCR 検査陽性期間の中央値は 6 日(1~17 日)であった.リアルタイム RT-PCR 検査陽性期間が延長する独立した危険因子は,年齢が 14 歳未満であること,男性であること,発症からオセルタミビル投与までに 48 時間以上経過していることであった.

結 論

中国における 2009 H1N1 ウイルス調査では,感染者の多くが軽症であることが示された.リアルタイム RT-PCR 検査でウイルスが検出される期間は,発熱の有無にかかわらず一般的に 6 日である.感染期間は,オセルタミビル投与によって短縮される可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 2507 - 17. )