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December 31, 2009 Vol. 361 No. 27

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高リスク集団における MMP12 と肺機能,COPD
MMP12, Lung Function, and COPD in High-Risk Populations

G.M. Hunninghake and Others

背景

小児・成人の肺機能に影響を及ぼす遺伝子変異は,最終的に慢性閉塞性肺疾患(COPD)を発症させる可能性があり,とくに高リスク群ではその可能性が高い.

方 法

小児と成人を含む 7 コホート,8,300 例超を対象に,マトリックスメタロプロテアーゼ 12 をコードする遺伝子(MMP12)の一塩基多型(SNP)と肺機能の指標(気管支拡張薬投与前の 1 秒量 [FEV1])との関連を検討した.標準的加齢研究(Normative Aging Study:NAS)のベースラインでは健康であった成人男性コホートにおいて,FEV1 に関連する SNP と COPD 発症までの期間との関連を調査した.次いで,COPD 成人患者コホートと COPD リスクのある成人コホートにおいて,MMP12 の SNP と COPD との関係を検討した.

結 果

全コホートの喘息児と過去喫煙者・現喫煙者の成人を合わせた解析では,MMP12 のプロモーター領域の機能的変異のマイナーアレル(G)(rs2276109 [-82A→G])と FEV1 に正の関連が認められた(P=2×10-6).また,このアレルは,NAS コホートにおける COPD 発症リスクの減少(ハザード比 0.65,95%信頼区間 [CI] 0.46~0.92,P=0.02),喫煙者コホートにおける COPD 発症リスクの減少(オッズ比 0.63,95% CI 0.45~0.88,P=0.005),早期発症型 COPD 家族研究コホートにおける COPD 発症リスクの減少(P=0.006)にも関連していた.

結 論

MMP12 の SNP のマイナーアレル(rs2276109)は,喘息児と成人喫煙者の肺機能に対する正の効果と関連している.また,このアレルは成人喫煙者における COPD リスクの減少とも関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 2599 - 608. )