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December 31, 2009 Vol. 361 No. 27

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米国における 2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)ウイルスの家庭内伝播
Household Transmission of 2009 Pandemic Influenza A(H1N1)Virus in the United States

S. Cauchemez and Others

背景

2009 年 6 月 11 日現在,米国では計 17,855 例の 2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)感染の疑い例・確定例が報告されている.われわれは,ほとんど明らかにされていない感染伝播の危険因子を明らかにし,その家庭内伝播について報告する.

方 法

米国内における 2009 H1N1 ウイルス感染の疑い例と確定例は,標準化された症例報告書式で米国疾病対策予防センター(CDC)に報告された.216 家庭(発端患者 216 例とその家庭内接触者 600 例)の家庭内伝播を調査した.発端患者は家庭内で最初に感染が確定した患者とし,家族全員の症状と年齢に関する情報が得られた家庭を対象とした.

結 果

急性呼吸器疾患は,家庭内接触者 600 例中 78 例(13%)で発現した.家庭内接触者の呼吸器疾患は,156 家庭(216 家庭の 72%)ではみられず,46 家庭(21%)では 1 例,14 家庭(6%)では 2 例以上でみられた.急性呼吸器疾患を発症した家庭内接触者の割合は家族人数が多くなるにつれて減少し,2 人家族で 28%,6 人家族で 9%であった.家庭内接触者の年齢別の感受性は,18 歳以下で 19~50 歳の接触者の 2 倍であり(相対的感受性 1.96,95%ベイズ信用区間 1.05~3.78,P=0.005),50 歳を超えると,19~50 歳より低くなった(相対的感受性 0.17,95%信用区間 0.02~0.92,P=0.03).感染力に年齢による差はみられなかった.発端患者の症状発現から家庭内接触者の症状発現までの平均期間は,2.6 日であった(95%信用区間 2.2~3.5).

結 論

2009 H1N1 インフルエンザウイルスの家庭内伝播率は,過去のパンデミックよりも低い.多くの場合,伝播は発端患者の症状発現の直前もしくは直後に起こる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 2619 - 27. )