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July 23, 2009 Vol. 361 No. 4

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インドにおける Vi 腸チフスワクチンのクラスター無作為化有効性試験
A Cluster-Randomized Effectiveness Trial of Vi Typhoid Vaccine in India

D. Sur and Others

背景

腸チフスは,発展途上諸国ではいまだに疾患と死亡の重大な原因である.Vi 多糖体ワクチンは,5 歳未満児における防御効果や,プログラムとして接種を行った場合の防御効果が明らかにされていないため,発展途上諸国では使用が控えられている.

方 法

インド・コルカタのスラム地域居住者(2 歳以上)を対象に,第 4 相有効性試験を実施した.対象者を,Vi ワクチンを 1 回接種する群と,不活化 A 型肝炎ワクチンを 1 回接種する群に,地理的クラスターごとに無作為に割り付けた.各群 40 クラスターとした.接種後 2 年間追跡した.

結 果

全体で,37,673 例がワクチン接種を 1 回受けた.平均ワクチン接種率は,Vi ワクチン群 61%,A 型肝炎ワクチン群 60%であった.腸チフスと診断された被験者数は,A 型肝炎ワクチン群 96 例に対し Vi ワクチン群 34 例であり,エピソードが 2 回以上発現した被験者はいなかった.Vi ワクチンの防御効果は 61%であった(95%信頼区間 [CI] 41~75,A 型肝炎ワクチン群との比較で P<0.001).2~5 歳でワクチン接種を受けた小児の防御率は 80%であった(95% CI 53~91).Vi ワクチンクラスターのワクチン非接種者では,防御率は 44%であった(95% CI 2~69).Vi ワクチンクラスターの居住者における全体的な防御率は 57%であった(95% CI 37~71).接種後 1 ヵ月間に,ワクチンに起因する重篤な有害事象は,いずれのワクチン接種群にもみられなかった.

結 論

Vi ワクチンは幼児に有効であり,接種者の近くにいる非接種者においても防御効果が認められた.今後,腸チフスが風土病である地域に Vi ワクチンを導入するかどうか検討する際には,このワクチンの直接的・間接的防御効果の可能性を考慮すべきである.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00125008)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 361 : 335 - 44. )