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April 1, 2010 Vol. 362 No. 13

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前立腺癌リスクに対するデュタステリドの効果
Effect of Dutasteride on the Risk of Prostate Cancer

G.L. Andriole and Others

背景

前立腺癌のリスクが高い男性では,デュタステリドにより生検で発見される前立腺癌の発症リスクが低下するかどうかを調査する目的で,今回の研究を行った.

方 法

4 年間の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験において,デュタステリド 0.5 mg/日をプラセボと比較した.50~75 歳で,前立腺特異抗原(PSA)値が 2.5~10.0 ng/mL,かつ登録前 6 ヵ月以内に行った前立腺生検(6~12 ヵ所)が陰性であった男性を適格とした.2 年後と 4 年後に経直腸的超音波ガイド下 10 ヵ所生検を実施した.

結 果

6,729 例が前立腺の生検あるいは手術を受けた.そのうち前立腺癌が発見されたのは,デュタステリド群 3,305 例中 659 例であったのに対しプラセボ群 3,424 例中 858 例で,4 年間の試験期間でデュタステリドによる相対リスク減少率は 22.8%(95%信頼区間 15.2~29.8)であった(P<0.001).試験 1~4 年目を通して,針生検を受けた 6,706 例で発見されたグリーソンスコア 7~10 の腫瘍数は,デュタステリド群では 3,299 例中 220 個,プラセボ群では 3,407 例中 233 個であった(P=0.81).しかし,3~4 年目に発見されたグリーソンスコア 8~10 の腫瘍数は,デュタステリド群で 12 個であったのに対し,プラセボ群では 1 個のみであった(P=0.003).デュタステリド療法により,プラセボと比べて急性尿閉の発生率が減少した(1.6% 対 6.7%,相対リスク減少率 77.3%).有害事象の発生率は,良性前立腺肥大に対するデュタステリド療法に関する先行研究と同程度であったが,複合カテゴリーとした「心臓機能不全」の相対発生率は,先行研究と比較してデュタステリド群のほうがプラセボ群より高かった(0.7% [30 例] 対 0.4% [16 例],P=0.03).

結 論

4 年間の試験期間で,デュタステリドにより,生検で発見される前立腺癌の発症リスクが低下し良性前立腺肥大に関連する転帰に改善がみられた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00056407)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 1192 - 202. )