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April 8, 2010 Vol. 362 No. 14

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世界貿易センターの崩壊に対応した救助隊員における 7 年後の肺機能
Lung Function in Rescue Workers at the World Trade Center after 7 Years

T.K. Aldrich and Others

背景

2001 年 9 月 11 日,世界貿易センターへのテロ攻撃により,ニューヨーク市消防局(Fire Department of New York City:FDNY)の数千人の救助隊員が粉塵に曝露され,隊員の肺機能はその後の 1 年間で著しく低下した.われわれは,この粉塵曝露の長期的な影響を明らかにすることを試みた.

方 法

世界貿易センターで救助活動を行った FDNY 救助隊員を現役・引退を問わず対象とし,1 秒量(FEV1)をスパイロメトリーを用いて測定し,線形混合モデルを用いて解析した.測定は,2000 年 3 月 12 日~2008 年 9 月 11 日に,12~18 ヵ月間隔で定期的に行った.

結 果

2001 年 9 月 11 日~24 日に世界貿易センターにいた FDNY 隊員 13,954 人のうち,計 12,781 人(91.6%)がこの研究に参加し,質で選別されたスパイロメトリー測定値 61,746 件が得られた.追跡期間中央値は消防隊員で 6.1 年,救急医療(EMS)隊員で 6.4 年であった.最初の 1 年間では,全例の平均 FEV1 は有意に低下しており,喫煙歴のない消防隊員(439 mL 低下,95%信頼区間 [CI] 408~471)では,喫煙歴のない EMS 隊員(267 mL 低下,95% CI 263~271)に比べて大きく低下していた(いずれも P<0.001). FEV1 はその後 6 年間でほとんどあるいはまったく回復せず,FEV1 低下の年平均値は,消防隊員で 25 mL/年,EMS 隊員で 40 mL/年であった.喫煙歴がなく FEV1 が正常値下限を下回った隊員の割合は,最初の 1 年間で消防隊員では 3%から 18%へ,EMS 隊員では 12%から 22%へ増加し,その後の 6 年間は消防隊員で約 13%,EMS 隊員では約 22%で安定した.

結 論

世界貿易センターでの粉塵曝露により,その後の 1 年間に FDNY 救助隊員の FEV1 は大きく低下した.全体的にこの低下は持続し,その後の 6 年間で回復することはなくかなりの割合の隊員が肺機能に異常を有したままであった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 1263 - 72. )