April 15, 2010 Vol. 362 No. 15
遅発型ポンペ病に対するアルグルコシダーゼαの無作為化試験
A Randomized Study of Alglucosidase Alfa in Late-Onset Pompe's Disease
A.T. van der Ploeg and Others
ポンペ病は,リソソームのグリコーゲンを分解する酵素である酸性αグルコシダーゼ(GAA)の欠損が原因の代謝性ミオパチーである.遅発型ポンペ病は,進行性の筋力低下と呼吸機能低下を特徴とし,早期に死亡にいたる.われわれは,遅発型ポンペ病の治療に対して組換え型ヒト GAA であるアルグルコシダーゼαを投与するプラセボ対照無作為化試験を行った.
米国と欧州の 8 施設において,侵襲的換気を受けていない 8 歳以上の歩行可能な患者 90 例を,78 週にわたり隔週でアルグルコシダーゼα(20 mg/kg 体重)を点滴静注する群と,プラセボを投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,6 分間歩行試験での歩行距離と,努力肺活量(FVC)の予測値に対する割合の 2 項目とした.
78 週目に,主要エンドポイントのベースラインからの平均変化量の推定値は,アルグルコシダーゼα群のほうが高かった(6 分間歩行試験では 28.1±13.1 m の延長,FVC では 3.4±1.2 パーセントポイントの絶対値増加;それぞれ P=0.03,P=0.006).有害事象,重篤な有害事象,投与関連反応を示した患者の割合は 2 群で同程度であった.実薬群の患者でのみ発生した有害事象は,アナフィラキシー反応と,蕁麻疹,潮紅,多汗,胸部不快感,嘔吐,血圧上昇といった投与関連反応であった(それぞれ患者の 5~8%に発生).
今回の試験対象では,アルグルコシダーゼαを用いた治療は,18 ヵ月にわたり歩行距離の改善と肺機能の安定に関連していた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00158600)