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May 20, 2010 Vol. 362 No. 20

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心臓移植後の拒絶反応サーベイランスのための遺伝子発現プロファイリング
Gene-Expression Profiling for Rejection Surveillance after Cardiac Transplantation

M.X. Pham and Others

背景

心内膜心筋生検は,心臓移植レシピエントにおける拒絶反応モニタリングの標準的な方法である.しかし,この方法は患者に不快感を与え,リスクも伴う.末梢血検体の遺伝子発現プロファイリングは,心内膜心筋生検の結果と相関することが示されている.

方 法

6 ヵ月~5 年前に心臓移植を受けた患者 602 例を,移植心機能の臨床評価・心エコー評価に加え,拒絶反応モニタリングとして遺伝子発現プロファイリング群とルーチンの心内膜心筋生検群に無作為に割り付けた.血行動態の悪化を伴う拒絶反応,ほかの原因による移植心の機能不全,死亡,再移植の複合主要転帰について,この 2 つのアプローチの非劣性比較を行った.

結 果

中央値 19 ヵ月の追跡期間中,複合主要転帰の 2 年累積発生率は遺伝子発現プロファイリング群と生検群で同程度であった(それぞれ 14.5%と 15.3%,遺伝子発現プロファイリング群のハザード比 1.04,95%信頼区間 0.67~1.68).2 年間の全死因死亡率も 2 群で同程度であった(それぞれ 6.3%と 5.5%,P=0.82).遺伝子発現プロファイリング群の患者では,心内膜心筋生検群の患者よりも人年あたりの追跡期間の生検回数が少なかった(0.5 対 3.0,P<0.001).

結 論

6 ヵ月より前に心臓移植を受けた,拒絶反応のリスクが低い特定の患者では,拒絶反応モニタリングに遺伝子発現プロファイリングを用いることで,ルーチンの生検と比較して,重篤な有害転帰のリスクが上昇することなく生検回数が有意に減少した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00351559)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 1890 - 900. )