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June 3, 2010 Vol. 362 No. 22

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早期乳癌における長期治療,医原性無月経,生存率
Longer Therapy, Iatrogenic Amenorrhea, and Survival in Early Breast Cancer

S.M. Swain and Others

背景

アントラサイクリン系薬とタキサン系薬を併用する化学療法レジメンにより,手術可能なリンパ節転移陽性乳癌女性の無病生存率と全生存率は改善するが,同時投与レジメンと逐次投与レジメンとで有効性の比較はなされていない.

方 法

手術可能なリンパ節転移陽性早期乳癌患者 5,351 例を,ドキソルビシン+シクロホスファミドを 4 サイクル投与した後ドセタキセルを 4 サイクル投与する(逐次 ACT)群,ドキソルビシン+ドセタキセルを 4 サイクル投与する(ドキソルビシン+ドセタキセル)群,ドキソルビシン+シクロホスファミド+ドセタキセルを 4 サイクル投与する(同時 ACT)群のいずれかに無作為に割り付けた.主要な目的は,同時 ACT のほうが逐次 ACT より有効かどうかと,ドキソルビシン+ドセタキセルレジメンと同時 ACT レジメンとで有効性は同等であるかどうかを検討することとした.副次的な目的は,毒性作用を評価することと,閉経前女性の無月経と転帰との相関を検討することとした.

結 果

追跡期間中央値 73 ヵ月の時点で,全生存率は逐次 ACT 群(8 年全生存率 83%)で,ドキソルビシン+ドセタキセル群(全生存率 79%,死亡のハザード比 0.83,P=0.03),同時 ACT 群(全生存率 79%,ハザード比 0.86,P=0.09)よりも改善した.無病生存率は逐次 ACT 群(8 年無病生存率 74%)で,ドキソルビシン+ドセタキセル群(無病生存率 69%,再発・二次癌・死亡のハザード比 0.80,P=0.001),同時 ACT 群(無病生存率 69%,ハザード比 0.83,P=0.006)よりも改善した.全生存率について,ドキソルビシン+ドセタキセルレジメンは同時 ACT レジメンに対し非劣性を示した(ハザード比 0.96,95%信頼区間 0.82~1.14).6 ヵ月以上無月経であった患者の全生存率は,エストロゲン受容体の状態にかかわらず全群で改善した.

結 論

逐次 ACT により,無病生存率はドキソルビシン+ドセタキセル,同時 ACT よりも改善し,全生存率はドキソルビシン+ドセタキセルよりも改善した.無月経は,レジメンとエストロゲン受容体の状態にかかわらず生存率の改善に関連していた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00003782)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 2053 - 65. )