The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

March 11, 2010 Vol. 362 No. 10

待期的冠動脈造影の低い診断率
Low Diagnostic Yield of Elective Coronary Angiography

M.R. Patel and Others

背景

心臓カテーテル検査の適応を決めるためのガイドラインでは,リスク評価と非侵襲的検査を推奨している.われわれは,最近の全米登録データを用いて,冠動脈疾患が疑われる患者における,非侵襲的検査の実施状況とカテーテル検査の診断率を検討した.

方 法

米国心臓学会の全米心血管データ登録(American College of Cardiology National Cardiovascular Data Registry)に参加している 663 病院で,2004 年 1 月~2008 年 4 月に待期的カテーテル検査を受けた既知の冠動脈疾患のない患者を同定した.患者の人口統計学的特性,危険因子,症状,非侵襲的検査の結果と,閉塞性冠動脈疾患との相関を検討した.閉塞性冠動脈疾患は,左主幹冠動脈の直径 50%以上の狭窄,または主要な心外膜血管の直径 70%以上の狭窄と定義した.

結 果

対象は 398,978 例で,年齢の中央値は 61 歳,52.7%が男性で,26.0%が糖尿病,69.6%が高血圧を有していた.非侵襲的検査は 83.9%で行われた.カテーテル検査で閉塞性冠動脈疾患が認められたのは 149,739 例(37.6%)であった.39.2%は冠動脈疾患なし(全血管の狭窄が 20%未満と定義)と報告された.閉塞性冠動脈疾患の独立予測因子は,男性であること(オッズ比 2.70,95%信頼区間 [CI] 2.64~2.76),高齢であること(5 歳上昇ごとのオッズ比 1.29,95% CI 1.28~1.30),インスリン依存性糖尿病を有すること(オッズ比 2.14,95% CI 2.07~2.21),脂質異常症を有すること(オッズ比 1.62,95% CI 1.57~1.67)などであった.非侵襲的検査が陽性であった患者では,検査を受けなかった患者と比べて,閉塞性冠動脈疾患を有する割合がやや高かった(41.0% 対 35.0%,P<0.001,補正オッズ比 1.28,95% CI 1.19~1.37).

結 論

今回の研究では,待期的心臓カテーテル検査を受けた既知の心疾患のない患者で閉塞性冠動脈疾患が認められる割合は,1/3 をわずかに超える程度であった.日常診療において,心臓カテーテル検査実施の判断を下し診断率を上げるためには,より優れたリスク層別化の方法が必要である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 886 - 95. )