March 18, 2010 Vol. 362 No. 11
吸入コルチコステロイドによるコントロールが不良な喘息児に対する段階的治療法
Step-up Therapy for Children with Uncontrolled Asthma while Receiving Inhaled Corticosteroids
R.F. Lemanske, Jr., and Others
低用量吸入コルチコステロイド(ICS)を用いてもコントロールが不良な喘息児に対する段階的治療法の指針となるエビデンスはほとんどない.
フルチカゾン 100 μg 1 日 2 回の投与ではコントロールが不良な喘息児 182 例(6~17 歳)を,盲検化した次の 3 つの段階的治療法に,16 週間ずつ(計 48 週間),無作為に割り付けた;フルチカゾン 250 μg 1 日 2 回(ICS 段階的治療法),フルチカゾン 100 μg+長時間作用型β刺激薬 50 μg 1 日 2 回(LABA 段階的治療法),フルチカゾン 100 μg 1 日 2 回投与+ロイコトリエン受容体拮抗薬 5 mg または 10 mg 1 日 1 回(LTRA 段階的治療法).3 療法によるクロスオーバーデザインと 3 つの複合転帰(増悪・喘息をコントロールできた日数・1 秒量 [FEV1])を用いて,それぞれの治療法に対する反応の差が 25%を超えるかどうかを検討した.
評価した患児 165 例のうち 161 例に反応の差が認められた(P<0.001).LABA 段階的治療法で最良の反応が得られる確率が高かった(LTRA 段階的治療法との比較で相対確率 1.6,95%信頼区間 [CI] 1.1~2.3,P=0.004);ICS 段階的治療法との比較で相対確率 1.7,95% CI 1.2~2.4,P=0.002).無作為化前に行った喘息コントロール検査(Asthma Control Test)のスコアが高いほど(すなわちベースラインのコントロールが良好であるほど),LABA 段階的治療法によりよい反応が得られると予想された(P=0.009).白人であることが LABA 段階的治療法でよりよい反応が得られることに関連すると予想され,黒人患児では LTRA 段階的治療法で最良の反応が得られる確率がもっとも低かった(P=0.005).
ほぼすべての患児で各段階的治療法に対する反応は異なった.LABA 段階的治療法は,ICS,LTRA による段階的治療法よりも最良の反応が得られる傾向が有意に強かったが,それらの 2 療法により最良の反応が得られる患児も多かった.このことは,定期的なモニタリングを行い,患児に合わせた治療を適切に設定する必要があることを強調している.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00395304)