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September 23, 2010 Vol. 363 No. 13

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下肢表在静脈血栓症の治療におけるフォンダパリヌクス
Fondaparinux for the Treatment of Superficial-Vein Thrombosis in the Legs

H. Decousus and Others

背景

急性かつ症候性の下肢表在静脈血栓症をきたし,診察時には深部静脈血栓症や症候性の肺塞栓症のいずれも併発していない患者に対する,抗凝固薬治療の有効性と安全性は確立されていない.

方 法

無作為化二重盲検試験において,患者 3,002 例を,45 日間フォンダパリヌクス 2.5 mg を 1 日 1 回皮下投与する群と,プラセボを投与する群のいずれかに割り付けた.有効性の主要転帰は,47 日目における,全死因死亡,症候性の肺塞栓症,症候性の深部静脈血栓症,症候性の大伏在静脈-大腿静脈接合部への進展,症候性の表在静脈血栓症の再発の複合とした.安全性の主要転帰は重大な出血とした.患者を 77 日目まで追跡調査した.

結 果

有効性の主要転帰は,フォンダパリヌクス群 1,502 例中 13 例(0.9%),プラセボ群 1,500 例中 88 例(5.9%)に認められた(フォンダパリヌクス群の相対リスク減少率 85%,95%信頼区間 [CI] 74~92,P<0.001).有効性の主要転帰の各項目の発生率は,死亡(両群とも 0.1%)を除き,フォンダパリヌクス群のほうがプラセボ群と比べて有意に低かった.肺塞栓症または深部静脈血栓症が認められた患者の割合は,フォンダパリヌクス群のほうがプラセボ群より 85%低かった(0.2% 対 1.3%,95% CI 50~95,P<0.001).77 日目にも同等のリスク減少が認められた.肺塞栓症または深部静脈血栓症を 1 例予防するためには,88 例を治療する必要があった.重大な出血は各群 1 例で認められた.重篤な有害事象の発生率は,フォンダパリヌクス群 0.7%,プラセボ群 1.1%であった.

結 論

45 日間にわたる1 日 1 回のフォンダパリヌクス 2.5 mg の投与は,急性かつ症候性の下肢表在静脈血栓症を有する患者の治療に有効であり,重篤な副作用は認められなかった.(GlaxoSmithKline 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00443053)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 1222 - 32. )