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October 14, 2010 Vol. 363 No. 16

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ネビラピン単回投与歴のある女性に対する抗レトロウイルス療法
Antiretroviral Therapies in Women after Single-Dose Nevirapine Exposure

S. Lockman and Others

背景

周産期のネビラピン単回投与によって,ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)の母子感染は減少するが,ネビラピン耐性ウイルスが出現する.

方 法

アフリカの 7 ヵ国において,HIV-1 に感染した女性で,CD4+T 細胞数が 200/mm3 未満で,登録の 6 ヵ月以上前にネビラピン単回投与歴のある例とない例を,抗レトロウイルス療法としてテノホビル+エムトリシタビンにネビラピンを併用投与する群と,テノホビル+エムトリシタビンに低用量リトナビルでブーストしたロピナビルを併用投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントはウイルス学的失敗の確認または死亡までの期間とした.

結 果

ネビラピン単回投与歴のある 241 例が試験治療を開始した(ネビラピン群 121 例,リトナビルでブーストしたロピナビル群 120 例).ネビラピン群では,リトナビルでブーストしたロピナビル群に比べ,主要エンドポイントに達した女性が有意に多かった(26% 対 8%)(補正後の P=0.001).37 例がウイルス学的失敗をきたし(ネビラピン群 28 例,リトナビルでブーストしたロピナビル群 9 例),5 例がウイルス学的失敗をきたすことなく死亡した(ネビラピン群 4 例,リトナビルでブーストしたロピナビル群 1 例).ネビラピン単回投与から抗レトロウイルス療法開始までの期間が長くなるにつれ,群間差は小さくなる.ベースラインの血漿検体を用いた後ろ向きの大量塩基配列決定により,239 例中 33 例(14%)にネビラピン耐性が認められた.ネビラピン単回投与歴のない女性 500 例では,ネビラピン群 249 例中 34 例(14%)と,リトナビルでブーストしたロピナビル群 251 例中 36 例(14%)でウイルス学的失敗または死亡が認められた.

結 論

周産期におけるネビラピン単回投与歴のある女性では,初回抗レトロウイルス療法として,リトナビルでブーストしたロピナビルとテノホビル+エムトリシタビンの併用投与のほうが,ネビラピンとテノホビル+エムトリシタビンの併用投与より優れていた(ただし,投与歴のない女性には当てはまらない).(米国国立アレルギー感染症研究所,米国国立研究センターから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00089505)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 1499 - 509. )