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October 21, 2010 Vol. 363 No. 17

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腫瘍血管における卵胞刺激ホルモン受容体の発現
Expression of Follicle-Stimulating Hormone Receptor in Tumor Blood Vessels

A. Radu and Others

背景

成人における卵胞刺激ホルモン(FSH)受容体の発現は,卵巣顆粒膜細胞と精巣セルトリ細胞でのみ認められる.性腺血管の内皮細胞における発現はわずかである.

方 法

FSH 受容体上の種々のエピトープを認識する 4 種類の FSH 受容体特異的モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学法と免疫ブロット法,および in situ ハイブリダイゼーションを用いて,さまざまな腫瘍を有する患者から採取した組織検体中の FSH 受容体を検出した.免疫電子顕微鏡法を用いて,マウス腫瘍内の FSH 受容体を検出した.

結 果

検討した 1,336 例全例で,早期の T1 腫瘍を含むあらゆる病期の腫瘍の内皮細胞に FSH 受容体の発現が認められた.腫瘍の部位は前立腺,乳房,大腸,膵臓,膀胱,腎臓,肺,肝臓,胃,精巣,卵巣であった.腫瘍からの距離が 10 mm を超える正常組織では,FSH 受容体の発現は認められなかった.腫瘍摘出手術時に採取した検体では,腫瘍リンパ管に FSH 受容体の発現は認められなかった.FSH 受容体を発現する内皮細胞は,腫瘍辺縁の厚さ約 10 mm の層に局在しており,層は腫瘍の内外に広がっていた.腫瘍を異種移植したモデルマウスでは,金コロイドを結合させた抗 FSH 受容体抗体を灌流させたあとの免疫電子顕微鏡法により,FSH 受容体は内皮細胞の内腔面に露出しており,血中のリガンドと結合して内在化させうることが示された.

結 論

FSH 受容体は,さまざまな腫瘍血管の表面で選択的に発現される.(INSERM から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 1621 - 30. )