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November 4, 2010 Vol. 363 No. 19

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無作為化臨床試験における遺伝子組換え活性型第 VII 因子の安全性
Safety of Recombinant Activated Factor VII in Randomized Clinical Trials

M. Levi and Others

背景

生命に関わる出血を治療するための遺伝子組換え活性型第 VII 因子(rFVIIa)の適応外使用は,血栓塞栓性合併症のリスク増加に関連している.しかし,そのリスクの適切な評価にはプラセボ対照試験によるデータが必要である.この問題に取り組むため,rFVIIa の適応外使用に関する発表されたすべての無作為化プラセボ対照試験を対象に,血栓塞栓イベントの発生率を評価した.

方 法

無作為化臨床試験 35 件(患者対象試験 26 件,健常ボランティア対象試験 9 件)のデータを解析し,血栓塞栓イベントの頻度を検証した.変量効果モデルを用いてデータをプールし,オッズ比と 95%信頼区間を算出した.

結 果

4,468 例(患者 4,119 例,健常ボランティア 349 例)のうち,血栓塞栓イベントは 498 例(11.1%)で発生した.動脈血栓塞栓イベントの発生率は,rFVIIa 群のほうがプラセボ群より高かった(5.5% 対 3.2%,P=0.003).静脈血栓塞栓イベントの発生率は,rFVIIa 群とプラセボ群で同程度であった(5.3% 対 5.7%).冠動脈血栓塞栓イベントの発生率は,rFVIIa 群では 2.9%であったのに対し,プラセボ群では 1.1%であった(P=0.002).動脈血栓塞栓イベントの発生率は,とくに 65 歳以上では rFVIIa 群のほうがプラセボ群より高かった(9.0% 対 3.8%,P=0.003);75 歳以上できわめて高かった(10.8% 対 4.1%,P=0.02).

結 論

rFVIIa に関するプラセボ対照試験の対象者から成る大規模かつ包括的なコホート集団において,高用量の rFVIIa を適応外使用した治療により,とくに高齢者では動脈血栓塞栓イベントのリスクが有意に増加したが,静脈血栓塞栓イベントのリスクは増加しなかった.(Novo Nordisk 社から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 1791 - 800. )