December 9, 2010 Vol. 363 No. 24
心不全患者の遠隔モニタリング
Telemonitoring in Patients with Heart Failure
S.I. Chaudhry and Others
小規模研究で遠隔モニタリングにより心不全の転帰が改善する可能性が示唆されているが,大規模試験での有効性は確立されていない.
心不全で最近入院した患者 1,653 例を,遠隔モニタリング群(826 例)と通常ケア群(827 例)に無作為に割り付けた.遠隔モニタリングは,電話を用いた自動音声応答システムにより毎日収集した症状と体重を主治医が検討することによって行った.主要エンドポイントは,登録後 180 日以内にみられたあらゆる原因による再入院または全死因死亡の複合とした.副次的エンドポイントは,心不全による入院,入院日数,入院回数などとした.
患者の年齢中央値は 61 歳であり,42.0%が女性,39.0%が黒人であった.主要エンドポイントに関して遠隔モニタリング群と通常ケア群で有意差は認められず,それぞれ 52.3%と 51.5%で発生した(差 0.8 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -4.0~5.6,χ2 検定による P=0.75).あらゆる原因による再入院は,遠隔モニタリング群の 49.3%と通常ケア群の 47.4%で認められた(差 1.9 パーセントポイント,95% CI -3.0~6.7,χ2 検定による P=0.45).死亡は,遠隔モニタリング群の 11.1%と通常ケア群の 11.4%で認められた(差 -0.2 パーセントポイント,95% CI -3.3~2.8,χ2 検定による P=0.88).副次的エンドポイント,主要エンドポイントおよびその各項目の発生までの期間に関して,群間で有意差は認められなかった.有害事象の報告はなかった.
心不全で最近入院した患者において,遠隔モニタリングによる転帰の改善は認められなかった.今回の結果から,疾患管理の戦略は,それを採用する前に詳細な評価を独立に行うことが重要であると示されている.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00303212)