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July 22, 2010 Vol. 363 No. 4

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抗 GBM 腎炎におけるグッドパスチャー自己抗原の分子構造
Molecular Architecture of the Goodpasture Autoantigen in Anti-GBM Nephritis

V. Pedchenko and Others

背景

グッドパスチャー病では,血中自己抗体は糸球体基底膜(GBM)に存在する IV 型コラーゲンの非コラーゲン性-1(NC1)ドメインに結合する.組織に結合した自己抗体のエピトープの特異性および分子構造は明らかにされていない.アルポート移植後腎炎は,GBM に対するアロ抗体が介在し,アルポート症候群患者の一部で腎移植後に発症する.抗 GBM 糸球体腎炎の発症機序に関する手がかりを見出す目的で,グッドパスチャー病とアルポート移植後腎炎とで,抗体エピトープのコンフォメーションを比較した.

方 法

酵素免疫測定法(ELISA)を用いて,NC1 ドメインに対する,血中自己抗体と腎臓に存在する抗体の特異性を検討した.血中抗体は,グッドパスチャー病患者 57 例で検討し,腎臓に結合した抗体は,グッドパスチャー病患者 14 例とアルポート移植後腎炎患者 2 例で検討した.主要なエピトープ領域の分子構造は,キメラ分子と α345NC1 6 量体 3 次元モデルを用いて推定した.

結 果

グッドパスチャー病患者では,腎臓と肺において,自己抗体は α3NC1 単量体と α5NC1 単量体に結合し(α4NC1 単量体に結合するものは少ない),α3NC1,α5NC1 単量体が自己抗原であることが示された.抗 GBM 疾患の診断時の高い抗体価は,最終的な腎機能喪失に関連していた.抗体は,α5NC1 単量体の EA 領域および α3NC1 単量体の EA,EB 領域にある特定のエピトープに結合したが,ネイティブの α345NC1 交差結合 6 量体には結合しなかった.一方,アルポート移植後腎炎患者では,アロ抗体は正常な 6 量体中の α5NC1 サブユニットの EA 領域に結合し, 6 量体が解体すると結合は減少した.

結 論

グッドパスチャー病の発症は,α345NC1 6 量体の 4 次構造の変化を伴う自己免疫の「コンフォメーション障害」とみなすことができるのかもしれない.この障害が,α3NC1,α5NC1 サブユニットにおける病原性のコンフォメーション変化を引き起こし,自己免疫応答を誘発すると考えられる.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所から研究助成を受けた)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 343 - 54. )