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July 1, 2010 Vol. 363 No. 1

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完全皮下植込み型除細動器
An Entirely Subcutaneous Implantable Cardioverter-Defibrillator

G.H. Bardy and Others

背景

植込み型除細動器(ICD)は,一部の患者の心原性突然死を予防するが,経静脈リードシステムを使用する必要がある.静脈アクセスの必要性をなくすため,われわれは完全皮下 ICD システムを設計し,検証した.

方 法

最初に,適切な機器構造を明らかにし,必要なエネルギー量を検討するため 2 つの短期臨床試験を行った.まず,ICD 植込みの候補者 78 例を対象に構造の異なる 4 つの皮下 ICD を評価し,次に別の 49 例を対象に最適な構造の ICD を試験し,標準的な経静脈的 ICD と比較して皮下 ICD の除細動閾値を測定した.その後,皮下 ICD の長期使用について,6 例を対象にしたパイロット試験と,55 例を対象にした試験を行った.

結 果

電極を傍胸骨領域,パルス発生器を左側胸部に留置する構造の ICD が最適であった.この構造の ICD は,誘発された心室細動の停止において経静脈的 ICD と同等の有効性を示したが,必要なエネルギー量の平均値(±SD)は有意に高かった(36.6±19.8 J 対 11.1±8.5 J).恒久的皮下 ICD の植込みを受けた患者では,誘発された 137 件の心室細動を 100%検出した.2 回連続で実施した心室細動誘発試験では,59 例中 58 例(98%)が 65 J の電気ショックにより 2 回とも除細動に成功した.臨床的に意義のある有害事象として認められたのは,ポケット部感染 2 例,リード交換 4 例であった.平均 10±1 ヵ月後,自発性の持続性心室性頻脈性不整脈 12 件すべてが検出され,治療に成功した.

結 論

小規模の非無作為化試験において,完全皮下 ICD により,電気生理学的検査中に誘発された心室細動は一貫して検出され,除細動に成功した.また,自発性の持続性心室性頻脈性不整脈 12 件すべての検出と治療に成功した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00399217/NCT00853645)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 36 - 44. )