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August 5, 2010 Vol. 363 No. 6

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ナノ濾過 C1 インヒビター濃縮製剤による遺伝性血管性浮腫の治療
Nanofiltered C1 inhibitor Concentrate for Treatment of Hereditary Angioedema

B.L. Zuraw and Others

背景

C1 インヒビターの欠損に起因する遺伝性血管性浮腫は,腫脹の反復性急性発作を特徴とし,痛みを伴うことも,ときには生命に関わることもある.

方 法

遺伝性血管性浮腫の治療におけるナノ濾過 C1 インヒビター濃縮製剤の有効性について,2 つの無作為化試験を行った.第一の試験では,遺伝性血管性浮腫の急性発作に対する治療効果について,ナノ濾過 C1 インヒビター濃縮製剤とプラセボとで比較した.計 68 例(C1 インヒビター群 35 例,プラセボ群 33 例)に試験薬(各 1,000 単位)を 1 回または 2 回静注した.主要エンドポイントは,明らかな症状の改善が得られるまでの時間とした.第二の試験は遺伝性血管性浮腫患者 22 例を対象にしたクロスオーバー試験で,1 期間を 12 週とし,週 2 回のナノ濾過 C1 インヒビター濃縮製剤(1,000 単位)の予防的静注とプラセボとを 1 期間ずつ 2 期間で比較した.主要エンドポイントは期間あたりの血管性浮腫の発作回数とし,対照は各患者自身とした.

結 果

第一の試験では,明らかな症状改善までの時間の中央値は,C1 インヒビター群では 2 時間であったのに対し,プラセボ群では 4 時間を超えていた(P=0.02).第二の試験では,12 週あたりの発作回数は,C1 インヒビター群では 6.26 回であったのに対し,プラセボ群で 12.73 回であった(P<0.001).C1 インヒビター群では,発作の重症度と持続時間,非盲検の救済治療の必要性,腫脹の総持続日数にも有意な減少が認められた.

結 論

遺伝性血管性浮腫の患者において,ナノ濾過 C1 インヒビター濃縮製剤の投与により急性発作の持続時間は短縮した.ナノ濾過 C1 インヒビター濃縮製剤の予防的投与により,急性発作の頻度は減少した.(Lev Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00289211,NCT01005888,NCT00438815,NCT00462709)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 513 - 22. )