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August 19, 2010 Vol. 363 No. 8

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線維筋痛症に対する太極拳の無作為化試験
A Randomized Trial of Tai Chi for Fibromyalgia

C. Wang and Others

背景

先行研究により,太極拳は線維筋痛症の患者に治療効果があることが示唆されている.

方 法

線維筋痛症(米国リウマチ学会の 1990 年の診断基準に基づき定義)の治療法としての古式楊式太極拳を,健康教育とストレッチで構成される介入を対照として比較する単盲検無作為化試験を行った.各セッションは 60 分とし,各群で週 2 回,12 週間行った.主要エンドポイントは 12 週目の試験終了時に実施する線維筋痛症質問票(Fibromyalgia Impact Questionnaire:FIQ)スコア(0~100 点で,スコアが高いほど症状が重度であることを示す)の変化とした.副次的エンドポイントは,36 項目の健康調査票(SF-36)の身体的健康度と精神的健康度のサマリースコアなどとした.すべての評価を 24 週目で再度行い,効果の持続性を検討した.

結 果

無作為化した 66 例のうち,太極拳群の 33 例で FIQ の合計スコアと QOL に臨床的に重要な改善が認められた.FIQ スコアの平均値(±SD)は,太極拳群ではベースライン 62.9±15.5 点,12 週目 35.1±18.8 点であったのに対し,対照群ではそれぞれ 68.0±11 点,58.6±17.6 点であった(太極拳群のベースラインからの変化と対照群のベースラインからの変化との差 -18.4 ポイント,P<0.001).SF-36 の身体的健康度のスコアは,太極拳群ではベースライン 28.5±8.4 点,12 週目 37.0±10.5 点であったのに対し,対照群ではそれぞれ 28.0±7.8 点,29.4±7.4 点であった(群間差 7.1 ポイント,P=0.001).精神的健康度のスコアは,太極拳群ではベースライン 42.6±12.2 点,12 週目 50.3±10.2 点であったのに対し,対照群ではそれぞれ 37.8±10.5 点,39.4±11.9 点であった(群間差 6.1 ポイント,P=0.03).24 週の時点でも改善は持続していた(FIQ スコアの群間差 -18.3 ポイント,P<0.001).有害事象はみられなかった.

結 論

太極拳は線維筋痛症に対する有用な治療法であり,より大規模な研究集団を対象にした長期研究を行う価値があると考えられる.(米国国立補完代替医療センターほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00515008)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 743 - 54. )