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September 2, 2010 Vol. 363 No. 10

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IIIC 期または IV 期の卵巣癌に対するネオアジュバント化学療法と一次腫瘍減量手術
Neoadjuvant Chemotherapy or Primary Surgery in Stage IIIC or IV Ovarian Cancer

I. Vergote and Others

背景

進行した卵巣癌患者に対しては,化学療法開始前に一次腫瘍減量手術を行う治療が標準治療とされてきた.

方 法

IIIC 期または IV 期の上皮性卵巣癌,卵管癌,原発性腹膜癌の患者を,一次腫瘍減量手術後に白金製剤を中心とした化学療法を行う群と,白金製剤を中心としたネオアジュバント化学療法後に腫瘍減量手術を行う(中間期腫瘍減量手術)群に無作為に割り付けた.

結 果

無作為化された患者 670 例のうち,適格患者 632 例(94.3%)で治療を開始した.これらの患者の大多数は,一次腫瘍減量手術時,広範囲に及ぶ IIIC 期または IV 期の腫瘍を有していた(転移性病変は74.5%で直径 5 cm 超,61.6%で 10 cm 超).最大残存腫瘍径 1 cm 以下になったのは,一次腫瘍減量手術後で 41.6%,中間期腫瘍減量手術後で 80.6%であった.術後の有害作用発生率と死亡率は,一次腫瘍減量手術後のほうが中間期腫瘍減量手術後より高い傾向にあった.ネオアジュバント化学療法後に中間期腫瘍減量手術を行った群の死亡のハザード比(intention-to-treat 解析)は,一次減量手術後に化学療法を行った群との比較で 0.98 であり(90%信頼区間 0.84~1.13,非劣性について P=0.01),進行性腫瘍のハザード比は 1.01 であった(90%信頼区間 0.89~1.15).全肉眼的病変の根治的切除(一次手術時または中間期手術時)は,全生存率を予測するもっとも強力な独立変数であった.

結 論

この試験では,ネオアジュバント化学療法後に中間期腫瘍減量手術を行う治療は,腫瘍径の大きな IIIC 期または IV 期の卵巣癌を有する患者の治療選択肢として,一次腫瘍減量手術後に化学療法を行う治療に対して非劣性を示さなかった.腫瘍減量手術に際しては,一次治療として行うかネオアジュバント化学療法後に行うかにかかわらず,肉眼的病変の根治的切除が目標であることに変わりはない.(米国国立癌研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00003636)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 943 - 53. )