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April 14, 2011 Vol. 364 No. 15

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集中治療中の耐性菌伝播を減少させるための介入
Intervention to Reduce Transmission of Resistant Bacteria in Intensive Care

W.C. Huskins and Others

背景

集中治療室(ICU)は,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)とバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の伝播リスクが高い環境である.

方 法

クラスター無作為化試験において,MRSA および VRE の保菌の監視と無菌遮断予防策(介入)の広範な実施が,成人 ICU における MRSA または VRE の保菌率・感染率に及ぼす影響を,既存の方法(対照)と比較検討した.参加した全 ICU の患者に監視培養を行い,その結果は介入群の ICU にのみ報告した.介入 ICU では,MRSA または VRE の保菌患者・感染患者を接触感染予防策によるケアに割り付け,それ以外は全例,退室まで,または入院時の監視培養が陰性と報告されるまで,手袋の着用徹底によるケアに割り付けた.

結 果

6 ヵ月の介入期間に,10 ヵ所の介入 ICU に 5,434 例が入室し,8 ヵ所の対照 ICU に 3,705 例が入室した.介入 ICU では,対照 ICU と比べて MRSA または VRE の保菌患者・感染患者が無菌遮断予防策に割り付けられる頻度が高かった(介入 ICU では ICU 在室日数のうち中央値で 92%が接触感染予防策または手袋の着用徹底に当てられ [接触感染予防策 51%,手袋の着用徹底 43%],対照 ICU では ICU 在室日数のうち中央値で 38%が接触感染予防策に当てられた,P<0.001).介入 ICU では,医療提供者が無菌遮断予防策に割り付けられた患者と接触する際に,清潔な手袋,ガウン,手指衛生を用いた頻度が,要求された頻度より低かった.接触感染予防策では,手袋は接触の中央値 82%で,ガウンは接触の 77%で,手指衛生は接触の 69%で用いられていた.手袋の着用徹底では,手袋は中央値 72%の接触で,手指衛生は 62%の接触後に用いられていた.ICU レベルでの 1,000 患者・日あたりの MRSA または VRE の保菌・感染の平均(±SE)発生率は,ベースラインの発生率で補正後,介入 ICU と対照 ICU とで有意差は認められなかった(それぞれ 40.4±3.3,35.6±3.7,P=0.35).

結 論

介入は MRSA や VRE の伝播減少に有効ではなかったが,医療提供者による無菌遮断予防策の実施は要求された頻度より少なかった.(米国国立アレルギー感染症研究所ほかから研究助成を受けた.STARICU ClinicalTrials.gov 番号:NCT00100386)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1407 - 18. )