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February 3, 2011 Vol. 364 No. 5

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Clostridium difficile 感染症に対するフィダキソマイシンとバンコマイシンの比較
Fidaxomicin versus Vancomycin for Clostridium difficile Infection

T.J. Louie and Others

背景

Clostridium difficile 感染症は重篤な下痢症であり,罹患率・死亡率はかなり高い.一般にバンコマイシンまたはメトロニダゾールの経口投与が有効であるが,再発率は高い.この第 3 相臨床試験では,C. difficile 感染症の治療におけるフィダキソマイシン(fidaxomicin)の有効性と安全性をバンコマイシンと比較した.

方 法

C. difficile 感染症の急性症状を呈し,便中 C. difficile 毒素陽性であった成人を適格とした.患者を,フィダキソマイシン(200 mg を 1 日 2 回)群とバンコマイシン(125 mg を 1 日 4 回)群に無作為に割り付け,10 日間経口投与した.主要エンドポイントは臨床的治癒(治療コースの終了後 2 日目の時点で症状が消失し,C. difficile 感染症に対する追加治療の必要性がないこと)とした.副次的エンドポイントは C. difficile 感染症の再発(治療後 4 週間以内に下痢と便中 C. difficile 毒素陽性が確認されること)と完全治癒(再発のみられない治癒)とした.

結 果

629 例を登録し,548 例(87.1%)を per-protocol 解析で評価しえた.フィダキソマイシンによる臨床的治癒率は,修正 intention-to-treat 解析(フィダキソマイシン群 88.2%,バンコマイシン群 85.8%)と per-protocol 解析(それぞれ 92.1%,89.8%)のいずれにおいても,バンコマイシンに対して非劣性を示した.フィダキソマイシン群における再発患者数は,修正 intention-to-treat 解析(15.4% 対 25.3%,P=0.005)と per-protocol 解析(13.3% 対 24.0%,P=0.004)のいずれにおいても,バンコマイシン群より有意に少なかった.パルスフィールドゲル電気泳動解析により North American Pulsed Field type 1(NAP1)以外の菌株が検出された患者では,再発率がより低かった.有害事象プロファイルは両群で類似していた.

結 論

フィダキソマイシンによる臨床的治癒率はバンコマイシンに対して非劣性を示した.フィダキソマイシンは,NAP1 以外の菌株に関連した C. difficile 感染症再発率の有意な低下に関連していた.(Optimer Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00314951)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 422 - 31. )