February 10, 2011 Vol. 364 No. 6
スニチニブリンゴ酸塩による膵神経内分泌腫瘍の治療
Sunitinib Malate for the Treatment of Pancreatic Neuroendocrine Tumors
E. Raymond and Others
マルチキナーゼ阻害薬スニチニブの膵神経内分泌腫瘍に対する活性が,前臨床モデル,第 1 相試験,第 2 相試験で示されている.
高分化型進行膵神経内分泌腫瘍患者を対象に,スニチニブの第 3 相多国無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した.全例で,ベースライン前 12 ヵ月以内に固形癌治療効果判定基準(RECIST)に基づく疾患進行が認められた.171 例を,対症療法(best supportive care)と併用してスニチニブ 37.5 mg/日を投与する群とプラセボを投与する群のいずれかに,1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは無増悪生存期間とし,副次的エンドポイントは客観的奏効率,全生存期間,安全性などとした.
独立データ・安全性モニタリング委員会により,プラセボ群で重篤な有害事象と死亡がより多いこと,無増悪生存期間にスニチニブの優位性を示す差があることが確認され,試験は早期に中止された.無増悪生存期間中央値は,スニチニブ群 11.4 ヵ月に対し,プラセボ群 5.5 ヵ月であった(進行または死亡のハザード比 0.42,95%信頼区間 [CI] 0.26~0.66,P<0.001).患者背景に基づく無増悪生存期間を Cox 比例ハザード解析を用いて解析すると,検討したすべてのサブグループでスニチニブの優位性が示された.客観的奏効率は,スニチニブ群 9.3%に対し,プラセボ群 0%であった.データカットオフポイントで報告された死亡は,スニチニブ群 9 例(10%)に対し,プラセボ群 21 例(25%)であった(死亡のハザード比 0.41,95% CI 0.19~0.89,P=0.02).スニチニブ群で高頻度にみられた有害事象は,下痢,悪心,嘔吐,無力症,疲労であった.
進行膵神経内分泌腫瘍患者に対するスニチニブ 37.5 mg 連日投与により,プラセボ投与と比較して,無増悪生存期間,全生存期間,客観的奏効率が改善した.(Pfizer 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00428597)