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March 17, 2011 Vol. 364 No. 11

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脊髄髄膜瘤に対する出生前と出生後の修復術を比較した無作為化試験
A Randomized Trial of Prenatal versus Postnatal Repair of Myelomeningocele

N.S. Adzick and Others

背景

二分脊椎のもっとも一般的な型である脊髄髄膜瘤に対し,出生前に修復するほうが,出生後に修復するよりも優れた神経機能が得られる可能性がある.われわれは,子宮内修復術と標準的な出生後修復術の転帰を比較した.

方 法

適格女性を,妊娠 26 週より前に出生前手術を行う群と標準的な出生後修復術を行う群のいずれかに無作為に割り付けた.主要転帰は 2 つあり,1 つは胎児または新生児の死亡と,生後 12 ヵ月までの脳脊髄液シャント設置の必要性の複合とした.もう 1 つは,30 ヵ月の時点における精神発達と運動機能の複合とした.

結 果

200 例の登録を計画していたが,183 例の登録後,出生前手術に有効性が認められたため,試験は中止された.この報告は,12 ヵ月の時点で児の評価を行った 158 例の結果に基づいている.第 1 の主要転帰は,出生前手術群 68%,出生後手術群 98%で発生した(相対リスク 0.70,97.7%信頼区間 [CI] 0.58~0.84,P<0.001).実際にシャント設置が行われた割合は,出生前手術群 40%,出生後手術群 82%であった(相対リスク 0.48,97.7% CI 0.36~0.64,P<0.001).出生前手術群では,30 ヵ月の時点における精神発達と運動機能の複合スコアの改善(P=0.007)と,12 ヵ月までの脳ヘルニア発現,30 ヵ月までの歩行機能などのいくつかの副次的転帰の改善が認められた.しかし,出生前手術は早産と出産時の子宮離開のリスク上昇に関連していた.

結 論

脊髄髄膜瘤に対する出生前手術によって,シャント術の必要性が低下し,30 ヵ月の時点における運動に関する転帰が改善したが,母体および胎児のリスク上昇との関連が認められた.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00060606)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 993 - 1004. )