September 15, 2011 Vol. 365 No. 11
赤血球期マラリアワクチンを評価する野外試験
A Field Trial to Assess a Blood-Stage Malaria Vaccine
M.A. Thera and Others
赤血球期マラリアワクチンは臨床疾患の予防を目的としている.熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)3D7 株由来の頂端膜抗原 1(AMA1)を基にした組換え蛋白であるマラリアワクチン FMP2.1/AS02A は,マリ人の成人および小児において免疫原性と許容可能な安全性を有することが先行研究で示されている.
二重盲検無作為化試験において,マリ人小児 400 例にマラリアワクチンと対照(狂犬病)ワクチンのいずれかを接種し,6 ヵ月間追跡した.主要エンドポイントは,発熱と血中原虫数 2,500/mm3 以上と定義した臨床的マラリアとした.副次的エンドポイントは,ワクチン株と同じ DNA 配列の AMA1 を有する原虫による臨床的マラリアとした.
主要エンドポイントの累積発生率は,マラリアワクチン群 48.4%,対照群 54.4%であった.主要エンドポイントに対する有効性は 17.4%であった(主要エンドポイントのハザード比 0.83,95%信頼区間 [CI] 0.63~1.09,P=0.18).さまざまな原虫密度閾値に基づいて定義した,臨床的マラリアの初回エピソードとその後のエピソードに対する有効性は約 20%であった.ワクチン株と一致する AMA1 を有する原虫による臨床的マラリアに対する有効性は 64.3%であった(ハザード比 0.36,95% CI 0.08~0.86,P=0.03).ワクチン接種後の局所反応および発熱の頻度は,マラリアワクチン群のほうが高かった.
主要エンドポイントに基づくと,マラリアワクチンの臨床的マラリアに対する有意な防御効果は示されなかった.しかし,副次的エンドポイントの結果に基づくと,株特異的に有効である可能性がある.この所見が裏付けられれば,AMA1 は多成分マラリアワクチンに有用となるかもしれない.(米国国立アレルギー感染症研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00460525.)