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December 22, 2011 Vol. 365 No. 25

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糸球体障害を伴うシャルコー・マリー・トゥース病における INF2 の突然変異
INF2 Mutations in Charcot–Marie–Tooth Disease with Glomerulopathy

O. Boyer and Others

背景

シャルコー・マリー・トゥース・ニューロパチーは腎疾患,主に巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)に関連することが報告されている.しかし,このニューロパチーと FSGS の基礎にあり共通する機序は明らかになっていない.最近,常染色体優性遺伝の FSGS 患者で INF2 の突然変異が同定された.INF2 はフォルミン蛋白をコードしている.フォルミン蛋白は,ミエリン形成とミエリンの維持という重要な過程に関与が示唆されている Rho-GTPase である CDC42 およびミエリン-リンパ球蛋白(MAL)と相互作用する.そこでわれわれは,FSGS に関連するシャルコー・マリー・トゥース・ニューロパチーは,INF2 が原因である可能性があるという仮説を立てた.

方 法

シャルコー・マリー・トゥース・ニューロパチーと FSGS を有し,かつ末梢性ミエリン蛋白 22 とミエリン蛋白 0 をそれぞれコードする PMP22 または MPZ に突然変異がみられない指標患者 16 例について,INF2 の直接的な遺伝子型決定を行った.組織学的検討と機能解析も行った.

結 果

指標患者 16 例のうち 12 例(75%)で 9 つの新しいヘテロ接合体変異が確認され,そのすべてが INF2 の diaphanous 阻害ドメインをコードするエクソン 2 と 3 に位置していた.患者は中間型のシャルコー・マリー・トゥース・ニューロパチーを呈し,腎生検で FSGS を伴う糸球体障害が認められた.免疫組織化学的解析から,シュワン細胞の細胞質と足細胞に INF2 が強く発現していることが明らかとなった.さらに,シュワン細胞内で INF2 が MAL と共局在し相互作用していることが示された.INF2 の変異体は INF2–MAL–CDC42 経路を撹乱し,その結果,細胞骨格の崩壊,INF2 と CDC42 の結合の亢進,INF2,MAL,CDC42 の位置異常が起こった.

結 論

INF2 の突然変異は,FSGS に関連するシャルコー・マリー・トゥース・ニューロパチーの多くの症例の原因となっていると考えられ,腎糸球体と末梢神経系の双方が侵される疾患には INF2 が関与していることが示される.この知見から,フォルミン蛋白が足細胞およびシュワン細胞の機能に関連するという病態生理学的機序に新たな洞察が得られる.(フランス国立研究機構ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 365 : 2377 - 88. )