常染色体優性慢性皮膚粘膜カンジダ症における STAT1 変異
STAT1 Mutations in Autosomal Dominant Chronic Mucocutaneous Candidiasis
F.L. van de Veerdonk and Others
慢性皮膚粘膜カンジダ症(CMC)は,皮膚,爪,粘膜カンジダ感染に対する感受性を特徴とする.常染色体劣性 CMC と自己免疫を有する患者は,自己免疫調節因子の AIRE に変異を有する.常染色体優性 CMC の原因は不明である.
5 家系 14 例の常染色体優性 CMC 患者を評価した.患者の末梢血単核細胞をさまざまな刺激物質の組み合わせで培養し,免疫を媒介する複数の経路の完全性を検討した結果,遺伝子異常を含む可能性の高い遺伝子 100 個が選択された.アレイに基づく配列獲得アッセイを用い,次いで次世代配列決定法を用いて,変異を同定した.
疾患を有する患者由来の単核細胞ではインターフェロン-γ,インターロイキン-17,インターロイキン-22 の産生低下が特徴的にみられ,このことは,遺伝子異常がインターロイキン-12 受容体,インターロイキン-23 受容体のシグナル伝達経路内に存在することを示唆している.患者のシグナル伝達性転写因子 1(STAT1)のコイルドコイル(CC)領域をコードする DNA 配列に,ヘテロ接合性ミスセンス変異を同定した.これらの変異は,1 型および 17 型ヘルパー T 細胞(Th1,Th17)の反応異常をもたらした.これらの患者のインターフェロン-γ受容体経路は正常であった.
常染色体優性 CMC の基礎には STAT1 の CC 領域の変異があり,Th1 および Th17 の反応異常をもたらす.このことから真菌感染に対する感受性の増加が説明される可能性がある.(オランダ科学研究機関ほかから研究助成を受けた.)