通信販売専門の孵化場に由来する生きた家禽に関連したサルモネラ症の集団発生
Outbreak of Salmonellosis Linked to Live Poultry from a Mail-Order Hatchery
N.H. Gaffga and Others
ヒトサルモネラ感染症の集団発生は生きた家禽への接触との関連が強まっているが,有効な制御策は不明である.2005 年に,パルスフィールドゲル電気泳動法でまれなパターンを示す,ヒトサルモネラモンテビデオ感染症の集団発生(集団発生株)が,全米亜型分類ネットワークである PulseNet によって同定された.
感染源を特定し,さらなる疾患を予防するため,公衆衛生当局,動物衛生当局と協力して患者との面談,逆追跡調査,集団発生に関連した通信販売専門の孵化場での環境検査など,複数州にわたる調査を行った.症例は 2004~11 年に集団発生株に感染した例と定義した.
2004~11 年に,43 州で 316 症例が同定された.患者の年齢中央値は 4 歳であった.面談は 156 例(49%)の患者(またはその保護者)で行われ,このうち 36 例(23%)が入院していた.情報が得られた 145 例のうち,80 例(55%)に出血性下痢が認められた.孵化後間もない家禽との接触に関する情報は 159 例から得られ,うち 122 例(77%)でそのような接触があったことが報告された.米国西部のある通信販売専門の孵化場が逆追跡調査の 81%で同定され,この孵化場で採取された検体から集団発生株が分離された.孵化場での介入後,ヒトへの感染数は減少したが,伝播は続いた.
長期に及ぶ,複数州でのサルモネラ症の集団発生を同定した.これは主に幼児に感染し,通信販売専門の孵化場に由来する,孵化後間もない家禽との接触に関連していた.孵化場で行われた介入によって,関連するヒトへの感染は減少したが,根絶はされなかったことから,生きた家禽からのサルモネラ伝播を根絶することは困難であることが示された.